
『アレクサンダとぜんまいねずみ』は、レオ・レオニ(Leo Lionni)による絵本で、原作名は Alexander and the Wind-Up Mouse。1969年にアメリカで発行されました。日本では1975年に好学社から発行されました。本作は、心優しい生きたねずみアレクサンダと、おもちゃのぜんまいねずみウィリーとの友情と冒険を描いた物語です。ウィリーが捨てられる運命を知ったアレクサンダは、魔法で彼を救おうと奮闘します。命の大切さや本当の幸せを考えさせられる一冊で、詩的な谷川俊太郎の訳が物語に深みを加えています。色鮮やかなコラージュが印象的で、子どもから大人まで楽しめる感動的な作品です。
略歴
レオ・レオニの略歴
レオ・レオニ(Leo Lionni, 1910-1999)は、オランダのアムステルダムで生まれた絵本作家であり、デザイナー、芸術家です。幼少期をオランダやイタリア、アメリカで過ごし、大学では経済学を学びましたが、後にアートの道へ進みました。アメリカに移住し、広告業界で成功を収める一方、モダンアートにも深い関心を寄せました。50歳を過ぎてから絵本作家としての道が開かれます。彼の作品は、美しいコラージュや温かいストーリーが特徴で、『スイミー』『フレデリック』『アレクサンダとぜんまいねずみ』などが代表作です。子どもたちに創造力や多様性の大切さを伝える名作を多く残しました。
谷川俊太郎の略歴
谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう, 1931年-2024年)は、東京生まれの詩人、翻訳家、絵本作家です。1952年に詩集『二十億光年の孤独』でデビューし、その独創的で感受性豊かな詩風が注目を集めました。以来、詩だけでなく、絵本や脚本、翻訳など多岐にわたる分野で多才な才能と日本文学への多大な貢献を物語っています。
絵本分野では、レオ・レオニの『スイミー』や『フレデリック』の翻訳で知られ、その簡潔で美しい日本語訳が作品に新たな命を吹き込みました。また、絵本『もこもこもこ』や詩画集『ことばあそびうた』など、自身のオリジナル作品でも多くの読者に親しまれています。
受賞歴も多く、読売文学賞(1983年)、野間児童文芸賞(1988年)、朝日賞(1996年)など、国内外で高く評価されました。晩年には国際的な詩の賞も受賞し、日本文学の世界的な地位向上にも寄与しました。詩を通じて日常の深さを表現し続け、2024年に永眠しました。その作品と影響は、今も多くの人々に愛されています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は3歳から7歳程度が適切です。生き物とおもちゃの友情を描いたストーリーは、小さな子どもたちの心に響き、読み聞かせにも最適です。また、命や幸福のテーマは小学生にも考えさせる内容で、幅広い年齢層に親しまれる一冊です。
レビュー
『アレクサンダとぜんまいねずみ』は、シンプルながら深いメッセージを持つ感動的な絵本です。命の温かさと物語の優しさが、読むたびに新たな発見を与えてくれます。特にアレクサンダの自己犠牲と勇気に心を打たれました。レオ・レオニの特徴的なコラージュは、温かみと独特の芸術性を感じさせ、ページをめくるたびに視覚的な楽しみが広がります。谷川俊太郎の訳文も素晴らしく、詩的な響きが物語を引き立てています。この絵本は、親子で読む時間をより特別なものにしてくれるでしょう。大人にとっても、人生について考えさせられる魅力的な一冊です。