アリババと40にんのとうぞく/アラビアン・ナイト

いもとようこさんの絵本『アリババと40にんのとうぞく』は、アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)に収録された物語を基にしています。この絵本は2014年に日本の金の星社から発行されました。物語は、貧しい木こりのアリババが、偶然にも盗賊たちの隠し財宝の場所と「ひらけゴマ!」という呪文を知り、そこから展開する冒険と知恵比べを描いています。いもとさんの温かみのあるイラストと簡潔な文章で、子どもから大人まで楽しめる作品となっています。

略歴

アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)

アラビアン・ナイト、別名『千夜一夜物語』は、インド、ペルシャ、アラビア、エジプトなどの地域から集められた民話や伝説をまとめた大説話集です。物語は、サーサーン朝の王に新妻シェヘラザードが毎晩異なる話を語り、千一夜にわたって続けるという構成を持っています。有名な物語には、「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」「船乗りシンドバッドの冒険」などがあり、これらの物語は世界中で親しまれています。

いもとようこ

いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。

おすすめ対象年齢

いもとようこさんの『アリババと40にんのとうぞく』は、出版社の情報によれば、幼児から一般まで幅広い年齢層を対象としています。特に、物語の理解力が育ち始める4歳以上の子どもたちに適していると考えられます。また、親子で一緒に読むことで、物語の世界観や教訓を共有し、読書の楽しさを深めることができるでしょう。

レビュー

この絵本は、いもとようこさんの独特なタッチで描かれた温かみのあるイラストが印象的です。アリババと召使マルジャーナの勇気や知恵、そして人間の欲望や裏切りといったテーマが、子どもにも理解しやすい形で表現されています。物語の展開もテンポ良く、読み聞かせにも最適です。また、アラビアン・ナイトの世界観を感じることで、異文化への興味や想像力を育むきっかけにもなるでしょう。全体として、親子で楽しめる質の高い絵本だと感じました。

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