『わにわにのごちそう』は、小風さちさん作、山口マオさんの木版画イラストで描かれる、豪快なワニわにわにの“食いしん坊っぷり”が魅力の一冊。2007年に福音館書店から発行されました。冷蔵庫から肉を取り出し、フライパンで「じゅう じゅう」、お腹いっぱいになるまで食べる様子は、子どもだけでなく大人にも笑いを誘う迫力満点の構図と擬音語の連携が◎。「ずり づづづ」「ぐびっぐびっ」の音がリズミカルで、読み聞かせ時も盛り上がる、親子で楽しめる絵本です。
略歴
小風 さち
小風さち(こかぜさち,1955年東京生まれ)は、1977〜87年にイギリス・ロンドン郊外で暮らし、帰国後に絵本作家として活躍。代表作に「わにわに」シリーズや『とべ!ちいさいプロペラき』『はちみついろのうま』などがあります。翻訳絵本や児童書の訳書も手がけ、『ゆびぬき小路の秘密』で1994年に野間児童文芸新人賞を受賞。また、福音館書店や講談社などの児童書出版社を中心に精力的に作品を発表し、現在は東京都在住。独特のユーモアとリズムある文章で、子どもの心をつかみ続けています。
山口 マオ(絵)
山口マオさん(やまぐちまお,1958年千葉県生まれ)は、東京造形大学絵画科を卒業後、木版画を主軸にイラストレーター、版画家として活動。絵本「わにわに」シリーズのほか、『てのひらむかしばなし 十二支のはじまり』や『かにのしょうばい』『なりました』などを手がけ、雑誌・広告・グッズなど多岐に展開。福音館書店、岩波書店、鈴木出版などで作品を発表。絵本づくりでは、作家との共同作業を経て唯一無二の世界観を築くスタイルが特徴です。
おすすめ対象年齢
『わにわにのごちそう』の推奨対象年齢は2歳~。大きな絵と擬音中心のシンプルな言葉で構成されており、まだ言葉を話し始めの子どもにも読みやすく、リズム遊びのように楽しめます。親子で声に出して読むことで、笑いや共感が生まれる絵本です。
レビュー
この絵本を読んでいると、まるで“わにわに”自身が物語の中で生きているような迫力を感じます。木版画ならではのざらっとした質感が、ジュージュー音や豪快な咀嚼シーンと相まって独特の臨場感を生み出しています。「ずり づづづ」「じゅう じゅう」の擬音の連続が心地よく、読み手も自然と声の抑揚をつけたくなるリズム感。わにわにが“ごちそう”を前に目を輝かせる姿は、見ているこちらもお腹が鳴りそうなほどの食欲と幸せ感。笑いながら「もう一回!」と読み返したくなる、一緒に食べたい気分が高まる絵本でした。