『あみ』(2019年・アリス館)は、中川ひろたかさんの好奇心いっぱいの視点と、岡本よしろうさんの楽しいイラストが魅力の絵本です。ある日「ぼく」が気になったのは、世の中にあふれる「あみ」。漁師さんの網、虫取りあみ、ラケットのあみ…よく見ると身の回りには「あみ」がいっぱい。もし「あみ」がなかったら?と、想像はどんどん広がって、ちょっと笑えて考えさせられる展開に。身近なものへの気づきと発見がぎゅっと詰まった一冊です。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
岡本 よしろう(絵)
岡本よしろう(おかもとよしろう)さんは1973年に山口県宇部市で生まれました。幼い頃からお絵描きや工作に没頭。その創作の原点が今につながっているそうです。高校時代にデッサン力を磨こうと美大予備校へ進み、武蔵野美術大学油絵科に進学。卒業後は地元に戻り抽象画などを描いていましたが、2005年頃に絵本制作に興味をもち、絵本コンクールに挑戦。その後2009年に上京し、2011年に福音館書店『まちぼうけの生態学』(作:遠藤知二)で絵本作家デビュー。続いて2013年には谷川俊太郎さんの詩『生きる』を絵本化します。以来、自作絵本や文とのコラボ作品など幅広く活躍し、絵画や立体・インスタレーション制作にも取り組む、多才なアーティストです。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は4歳〜小学校低学年くらい。身近な「あみ」に注目しながら、もののしくみや役割について考えるきっかけになるので、好奇心旺盛な子どもたちにぴったりです。園や学校での読み聞かせにもおすすめ。
レビュー
読んでいるうちに「あれも網だ!これも!」と、大人まで夢中になってしまいました。普段見過ごしているものに目を向けるって、すごくおもしろい体験ですね。「あみ」がなかったらどうなるかという想像もユニークで、子どもの想像力に火がつく絵本です。岡本よしろうさんのイラストも細かくてにぎやかで、ページをめくるのが楽しい!何気ないテーマをここまで広げる中川ひろたかさん、さすがだなあと思いました。親子で盛り上がれる一冊です。