あさえとちいさいいもうと/筒井 頼子

筒井頼子さん作、林明子さんが絵を担当した『あさえとちいさいいもうと』は、1982年に初版が発行された心温まる絵本です。この作品は、お姉ちゃんのあさえが妹のお世話を任される中で起こる、小さな冒険と成長の物語を描いています。あさえが目を離した隙に妹がいなくなり、必死に探し回る様子は、幼い姉妹の絆と責任感を丁寧に描写しています。林明子さんの繊細で美しい挿絵が物語に深みを与え、読者を物語の中へ引き込みます。日常の中のささやかな出来事を通して、家族愛や子供の成長の一瞬を見事に表現した作品です。小さなお子様だけでなく、大人にも心に響く内容となっています。

略歴

筒井頼子

筒井頼子(つついよりこ)さんは1945年東京都板橋区生まれの絵本作家です。秋田県での幼少期や埼玉県での学生生活を経て、コピーライターとして働いた後、専業主婦となり子育てをしながら執筆を開始しました。1976年に福音館書店「こどものとも」で発表した『はじめてのおつかい』は、林明子さんが絵を担当し、子どもの成長を描く作品として長く愛されています。その後も『あさえとちいさいいもうと』『いもうとのにゅういん』などで成功を収め、特に『いもうとのにゅういん』の英語版がエズラ・ジャック・キーツ賞を受賞しました。日常を温かく描く作風で、国内外で多くの読者に親しまれています。

林 明子(絵)

林 明子(はやし あきこ)さんは、日本の絵本作家・イラストレーターとして多くの人々に親しまれています。1945年、東京都に生まれ、大学でグラフィックデザインを学びました。卒業後はデザイン事務所で働き、そこでの経験を生かしつつ、1970年代から絵本のイラストを手がけるようになります。
林さんの作品は、子どもたちの日常の生活や心の成長を細やかに描写することに定評があり、特に「こんとあき」「おつきさまこんばんは」「クリスマスの三つのおくりものセット」などは、親子で楽しめる定番の作品として愛されています。また、彼女の絵本は、物語の温かさと優しい色合いのイラストが調和しており、読む人に安心感と親しみを与える魅力があります。
そのキャリアを通じて、林さんは数多くの賞を受賞し、日本の絵本界で非常に重要な存在となっています。彼女の作品は国内外で高く評価され、翻訳もされているため、世界中の子どもたちにも親しまれています。

おすすめ対象年齢

『あさえとちいさいいもうと』は、3歳から小学校低学年頃の子どもにおすすめの絵本です。物語のテーマが姉妹の関係や責任感を描いており、特に兄弟や姉妹がいるお子さんにとって共感しやすい内容です。また、林明子さんの細やかでリアルな挿絵は、小さな子どもでも興味を引きやすく、読み聞かせにもぴったりです。一方で、大人が読んでも心に響く深いテーマが含まれており、家族で一緒に楽しむことができます。

レビュー

『あさえとちいさいいもうと』は、何気ない日常の中に潜むドラマを美しく描いた絵本だと思います。特に印象的なのは、あさえが妹を探し回る中で見せる必死な姿です。小さな子どもが抱える「自分に与えられた責任」を全力で果たそうとする様子は、微笑ましくも胸を打たれます。また、林明子さんの挿絵が物語にさらなる魅力を与えており、あさえの感情や妹の無邪気さが鮮明に伝わってきます。この絵本は、兄弟姉妹がいる家庭だけでなく、すべての子どもとその親にとって、家族の絆を再確認する機会を提供してくれる素晴らしい一冊だと感じました。読後にじんわりと心が温かくなる、まさに名作です。

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