POP WONDERLAND シンデレラ/グリム

『POP WONDERLAND シンデレラ』は、グリム兄弟の名作を基に、絵をぽっぷ氏、文をはやのみちよ氏が手掛けた絵本です。本書は、シンデレラが継母や義姉たちのいじめに耐えながらも、魔法の力で舞踏会に参加し、王子様と出会う物語を描いています。美しいイラストと簡潔な文章で、子どもたちにも理解しやすく仕上げられています。原作はグリム兄弟の『Aschenputtel』で、1812年にドイツで発表されました。本書はポプラ社から2008年に日本で出版されています。

略歴

グリム兄弟

グリム兄弟[ヤーコプ・グリム (Jakob Grimm) とヴィルヘルム・グリム (Wilhelm Grimm)]は、19世紀ドイツを代表する言語学者であり民俗学者です。彼らは1785年(ヤーコプ)と1786年(ヴィルヘルム)にドイツのハーナウに生まれ、マールブルク大学で法学を学ぶ中で民族文化や言語への関心を深めました。特に民間伝承や童話に強い興味を抱き、各地の口承文学を収集し、それを基にした『グリム童話集』を1812年に初めて出版しました。この作品は、単なる子供向けの物語ではなく、当時の民衆文化や価値観を反映した重要な文化遺産として高く評価されています。兄ヤーコプは特にドイツ語の文法研究や辞書編纂にも尽力し、弟ヴィルヘルムは物語の文体や編集に秀でていました。彼らの活動は、ドイツの統一と民族意識の高揚にも寄与しました。
彼らの作品には、『赤ずきん』や『おおかみと七ひきのこやぎ』、『ブレーメンのおんがくたい』、『こびとのくつや』、『ヘンゼルとグレーテル』、『白雪姫』、『シンデレラ』など、今日でも世界中で愛されている物語があります。

ぽっぷ(絵)

ぽっぷ(POP)さんは日本のイラストレーターで、同人サークル「ElectromagneticWave」に所属。商業デビュー作は『萌える英単語 〜もえたん〜』の挿絵で、萌え系実用書の先駆けとして話題になりました。その後、『POP WONDERLAND』シリーズ(文:はやの みちよ)を手掛け、クラシックなおとぎ話を独自のタッチで描きました。また、アニメ『こわれかけのオルゴール』や『ゆとりちゃん』のキャラクター原案を担当し、幅広いジャンルで活動。同人では漫画『lunchbox』を連載し、オリジナル作品や設定資料集を発表。POPの作風はメルヘンチックで可愛らしいキャラクターデザインが特徴で、国内外のファンに支持されています。

はやの みちよ(文)

早野美智代(はやの みちよ)さんは、長崎県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部を卒業後、児童文学の分野で活躍する作家です。彼女は多くの児童書を手掛けており、その作品は子どもたちに親しまれています。代表作の一つに、イギリスの昔話を基にした『ジャックとまめのき』があります。また、イラストレーターのPOPと共に制作した『POP WONDERLAND』シリーズでは、クラシックなおとぎ話を現代の子どもたちにも親しみやすい形で再構築しています。このシリーズの一冊である『しらゆきひめ』では、グリム童話の名作を優しい文章で綴り、鮮やかなイラストと共に物語の魅力を引き出しています。早野氏の作品は、子どもたちの想像力を育むとともに、読み聞かせにも適した内容となっており、教育現場や家庭で広く活用されています。彼女の執筆活動は、児童文学の分野で高く評価されており、今後の新作にも期待が寄せられています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、3歳から7歳までとされています。3歳から5歳のお子様には大人の読み聞かせとして、6歳から7歳のお子様には自分で読むことをお勧めします。

レビュー

『POP WONDERLAND シンデレラ』は、伝統的な物語を現代の子どもたちにも親しみやすい形で再構築しています。ぽっぷ氏の繊細で色彩豊かなイラストは、物語の世界観をより魅力的に伝えています。はやのみちよ氏の文章は簡潔でリズミカルであり、小さな子どもたちにも理解しやすく、読み聞かせにも最適です。シンデレラの勇気や優しさ、そして希望を持ち続ける姿勢は、子どもたちに大切な教訓を伝えてくれます。親子で一緒に楽しめる一冊としてお勧めします。

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