あしなが/あきやま ただし

『あしなが』は、あきやまただし作・絵による絵本で、1999年に講談社から発行されました。
物語は、すらりとした美しい犬「あしなが」が、のら犬たちから嫌われていることから始まります。彼らは「あしなが」について、「でっかい家に住んで、すごいごちそうを食べている」「子犬や子ねこを食べてしまう」といった無責任なうわさ話を信じ込み、彼を最低のやつだと決めつけていました。
しかし、のら犬のケンがある日「あしなが」の本当の姿を知ることで、彼の心に変化が生まれます。この絵本は、うわさや偏見に惑わされず、自分の目で真実を見極めることの大切さを教えてくれます。また、他者を理解し受け入れることの重要性を、子どもたちに優しく伝える作品です。
あきやまただしのシンプルで温かみのあるイラストが、物語のメッセージをより深く伝えています。読み聞かせにも適しており、親子で一緒に楽しみながら学べる一冊です。

あきやまただしの略歴

あきやま ただし(本名:秋山 匡)さんは、1964年に東京都で生まれた日本の絵本作家、イラストレーターです。東京芸術大学デザイン科を卒業後、1993年に『ふしぎなカーニバル』で第14回講談社絵本新人賞を受賞し、絵本作家としてのキャリアをスタートさせました。
その後、1995年には『はやくねてよ』で日本絵本賞大賞を受賞し、さらに2015年には『いしをつんだおとこ』で第62回産経児童出版文化賞美術賞を受賞するなど、数々の賞を受けています。
代表作としては、「はなかっぱ」、「パンツぱんくろう」、「まめうしシリーズ」、「へんしんシリーズ」、「たまごにいちゃんシリーズ」などがあり、これらの作品は子どもたちから高い人気を博しています。
また、2004年からはNHK Eテレの「おかあさんといっしょ」で「パンツぱんくろう」、2010年からは「はなかっぱ」のアニメーションが放送され、幅広いメディアで活躍し、子どもたちに笑顔と感動を届け続けています。

おすすめ対象年齢

絵本『あしなが』は、主に3歳から小学校低学年の子どもたちを対象としています。この絵本は、うわさや偏見に惑わされず、相手の本当の姿を知ることの大切さを描いており、シンプルながらも深いテーマを持っています。幼児には楽しい読み聞かせとして、小学生には自己理解や他者理解を深めるきっかけとして楽しむことができます。ストーリーは明快で、ユーモアあふれる展開やあたたかみのあるイラストが、幅広い年齢層の子どもたちに親しまれています。

レビュー

あきやまただしさんの『あしなが』は、子ども向けの絵本ながら、大人も考えさせられる深いテーマを持った作品です。物語の中心にあるのは、「うわさや偏見に惑わされず、自分の目で真実を見極める」というメッセージです。このテーマはシンプルですが、現代社会において非常に重要であり、子どもたちが小さいころから学んでほしい価値観です。

また、のら犬たちが「あしなが」について抱く誤解と、それを克服する過程がユーモアを交えながら描かれており、重くなりがちなテーマを子どもたちにもわかりやすく伝えています。特に主人公ケンの心情の変化や成長が丁寧に描かれており、読者の共感を呼びます。

イラストも特徴的で、温かみのあるタッチが物語の優しい雰囲気を引き立てています。あきやまただしさん特有のシンプルでユーモラスな絵は、子どもたちに親しみやすく、読み聞かせにも最適です。この絵本は、家族での読書時間を豊かにしてくれる一冊だと感じました。

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