西内ミナミさん作、堀内誠一さん絵の『クリーナおばさんとカミナリおばさん』は、2009年に福音館書店から刊行された絵本です。ごみの島に捨てられてしまった掃除機のクリーナおばさんは、「まだ働きたい」と思っていました。すると突然、カミナリおばさんが現れて、カミナリ山へ連れて行ってくれることに。そこでクリーナおばさんは、雷の力を使ってふたたび大活躍します。古いものや役目を終えたと思われるものでも、新しい居場所で輝けることを教えてくれる心あたたまるお話です。堀内誠一さんの力強くもユーモラスな絵が、物語に生命力を与えていて、読み聞かせにもぴったりの一冊です。
略歴
西内ミナミ
西内ミナミ(1938年生まれ)は京都市出身の絵本作家です。東京女子大学に進学。在学中から児童文学の創作を志し、卒業後は広告会社で約10年間コピーライターとして勤務しました。
その後、堀内誠一氏の勧めで絵本制作に取り組み、1966年に初の絵本『ぐるんぱのようちえん』を発表。以降、『おもいついたらそのときに!』や『しっこっこ』など、多数の作品を手がけました。
堀内 誠一(絵)
堀内誠一(ほりうちせいいち,1932年 – 1987年)さんは、東京府向島(現・墨田区)出身のグラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナー、絵本作家です。父・堀内治雄も図案家で、堀内は幼少期からデザインに親しみました。14歳で伊勢丹百貨店に入社し、ウィンドウディスプレイやレタリングの仕事を担当。その後、アド・センター株式会社を設立し、雑誌『an・an』『POPEYE』『BRUTUS』『Olive』のロゴデザインを手がけました。また、絵本作家としても活躍し、『ぐるんぱのようちえん』や『たろうのおでかけ』など、多くの作品を残しました。1974年から1981年までフランス・パリ郊外に移住し、現地の文化や芸術にも触れ、パリ在住日本人向けミニコミ誌の創刊に参画しました。1987年に永眠されました。
おすすめ対象年齢
『クリーナおばさんとカミナリおばさん』の対象年齢は、5歳くらいから小学校低学年がおすすめです。物語の流れが分かりやすく、擬人化されたキャラクターも親しみやすいので、読み聞かせに向いています。また、「役目を終えても別の形で生きられる」というテーマが込められているので、考える力が育ち始めた子どもたちにも響くお話です。
レビュー
この絵本を読んで印象的だったのは、捨てられた掃除機のクリーナおばさんが、新しい居場所を見つけて生き生きと働く姿です。「もうだめだ」と思っても、意外な出会いや環境の変化で再び輝けることを感じさせてくれます。堀内誠一さんのユーモラスな絵がキャラクターをいきいきと描き出し、物語をより楽しく彩っています。大人が読むと「ものを大切にする心」や「再生の可能性」を考えさせられ、子どもが読むとワクワクする冒険として楽しめる、世代を超えて味わえる絵本だと思いました。


