
『フランシスのいえで』は、ラッセル・ホーバン作、リリアン・ホーバン絵、松岡享子訳の絵本です。原作名は『A Baby Sister for Frances』で、1964年にアメリカで発行されました。日本語版は2014年に新装版として出版され、その後も多くの子どもたちに親しまれています。物語は、妹が生まれたことで寂しさを感じたフランシスが、家出を決意し、家の中で小さな冒険を繰り広げる様子を描いています。家族の愛情や絆を再確認する心温まるストーリーです。
略歴
ラッセル・ホーバン
ラッセル・ホーバン(Russell Hoban,1925-2011)は、アメリカ・ペンシルベニア州ランスデール生まれの児童文学作家です。フィラデルフィアの美術学校で学び、雑誌やテレビのアートディレクターとして働く傍ら創作活動を開始しました。1967年以降は作家業に専念し、妻リリアン・ホーバンと共作した「フランシス」シリーズなどで知られています。1969年にイギリスへ移住し、その後は大人向けのSF作品も手がけました。
リリアン・ホーバン(絵)
リリアン・ホーバン(Lillian Hoban,1925-1998)は、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれの挿絵画家、イラストレーター、絵本作家です。フィラデルフィアの美術学校でイラストレーションを専攻し、1961年に夫であるラッセル・ホーバンの著作『ハーマン・ザ・ローザ』の挿絵を手掛けたことをきっかけに、絵本の世界に入りました。以後、夫とのコンビで「フランシス」シリーズや『ハービーのかくれが』『親子ネズミの冒険』など、20冊以上の作品を出版しました。また、自ら文と絵を手掛けた「アーサー」シリーズなど、多くの作品を世に送り出しています。
まつおかきょうこ(訳)
松岡享子(1935-2022)さんは、日本の児童文学研究者、翻訳家、図書館司書です。神戸女学院大学を卒業後、ウェスタン・ミシガン大学で修士号を取得されました。帰国後は、福音館書店に勤務し、東京都立日比谷図書館で児童サービスにも携わられました。1974年には「東京子ども図書館」を設立し、児童書の普及に尽力されました。また、『しろいうさぎとくろいうさぎ』や「くまのパディントン」などの翻訳も手掛けられました。著作・翻訳は200冊以上にのぼり、文化功労者としても顕彰され、児童文学の発展に大きく貢献されました。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、4歳から6歳程度とされています。物語の内容やイラストが幼児から小学校低学年の子どもたちに適しており、読み聞かせや一人読みとして楽しめます。
レビュー
『フランシスのいえで』は、家族の愛情や兄弟間の微妙な感情を繊細に描いた作品です。フランシスの家出という小さな冒険を通じて、子どもたちは自分の気持ちや家族との関係を見つめ直すきっかけを得るでしょう。リリアン・ホーバンの温かみのあるイラストが物語を引き立て、読者の心に深く響きます。親子で一緒に読むことで、家族の絆を再確認できる素晴らしい絵本です。