ばななくんがね・・/とよた かずひこ

とよたかずひこさん作・絵の『ばななくんがね・・』(2016年 童心社)は、子どもたちにおなじみのバナナが主人公の楽しいおはなしです。3本くっついたばななくんたちが仲良くおさんぽへ。ところが歩きにくくて「ぽきーん」とはなれてしまい、頭をぶつけて大変!でも「しんぱいごむよう!」と、ばななくんが皮をむいて助けます。読み手の子どもたちも一緒に皮をむくしぐさを楽しめる参加型の絵本です。最後はみんなでおいしくいただく場面があり、読後は自然とバナナを食べたくなるユーモラスで親しみやすい一冊です。

略歴

とよた かずひこ

とよたかずひこ(本名:豊田 一彦)さんは、1947年、宮城県仙台市に生まれました。早稲田大学第一文学部を卒業されています。大学卒業後はフリーのイラストレーターとして活動し、長女の誕生をきっかけに絵本作家へと転身しました。1997年には『でんしゃにのって』で厚生省中央児童福祉審議会児童文化財特別推薦を受け、2001年には『どんどこ ももんちゃん』で第7回日本絵本賞を受賞しています。また、『あめですよ』は小学1年生の国語教科書(東京書籍)に採用されるなど、多くの作品が親しまれています。

おすすめ対象年齢

『ばななくんがね・・』は、赤ちゃんから幼児期の子どもたちにぴったりの絵本です。バナナという身近な食べものが動きだすユーモラスな展開は、食べる楽しさや想像の広がりを感じさせてくれます。読み聞かせでは「皮をむく」動作を親子でまねすることができ、体験型の楽しみも加わります。言葉のリズムとわかりやすい展開は、1歳ごろから小学校低学年くらいまで幅広く楽しめる内容です。

レビュー

『ばななくんがね・・』は、とよたかずひこさんらしい「しんぱいごむよう!」の合言葉と、ほっこりする展開が楽しい絵本だと感じました。特に、読者がばななくんの皮をむいてあげる参加型の場面は、読み聞かせのときに子どもたちが夢中になるだろうと思います。バナナは子どもにとってとても身近な食べものなので、親近感もわきやすく、「食べもの」への興味や喜びを自然に育んでくれるのも魅力です。最後にみんなでおいしくいただくシーンは、読後に本物のバナナを食べたくなる楽しい余韻を残してくれる絵本でした。