詩:弓削田健介さん、絵:松成真理子さんによる絵本『しあわせになあれ』は、瑞雲舎より2018年に刊行されました。この作品は、合唱曲「しあわせになあれ」の詩をもとにした絵本で、タイトルにもある通り「名前」は両親からの最初の贈り物。「しあわせになあれ」という祈りが込められていることを、やさしい言葉と叙情的な絵で丁寧に描かれています。名前を授かった子どもが、成長しやがて巣立つまでの姿がやわらかく描かれ、最後には多くの子どもたちが手をつないで「しあわせになあれ」と歌う感動的なシーンも。全国の学校で歌われるこの曲が絵本になった、待望の一冊です。
略歴
弓削田 健介(詩)
弓削田健介(ゆげた けんすけ)さんは1982年生まれ、福岡市出身。佐賀大学で作曲を学び、教員免許(音楽)を取得。その後、全国の小中学校や海外の日本人学校を巡って「いのちと夢のコンサート」を2000回以上開催。キャンピングカーで旅をしながら子どもたちと一緒に合唱曲を作る活動から「放浪の合唱作曲家」と呼ばれています。2018年には自身の合唱曲を絵本化した『しあわせになあれ』を刊行。代表作は『いのちのオーケストラ』『図書館で会いましょう』『Dream&Dream~夢をつなごう~』など。テレビ(NHK「おはよう日本」、NHKワールドなど)や新聞でも紹介され、社会貢献活動や学校現場での影響力も大きい作曲家です。
松成 真理子(絵)
松成真理子さんは1959年生まれで、大阪府出身のイラストレーター・絵本作家。京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)を卒業して、広告や雑誌のイラストの世界から絵本の世界へステップアップ。デビュー作『まいごのどんぐり』(童心社)で第32回児童文芸新人賞を受賞したのがきっかけ。主な作品には『じいじのさくら山』『ふでばこのなかのキルル』(白泉社)、『たなばたまつり』『はるねこ』(講談社)、『せいちゃん』(ひさかたチャイルド)、『ころんちゃん』(アリス館)などたくさんあって、ほんわかあったかい絵柄と物語が魅力です。
おすすめ対象年齢
『しあわせになあれ』の対象年齢は、だいたい 3歳〜5歳 のお子さん向けとされています。また、内容としては詩と絵で感情やメッセージを伝える構成なので、小さなお子さんだけでなく、家族みんなで名前に込められた想いを語り合いながら楽しむのにもぴったりです。
レビュー
名前に込められた「しあわせになあれ」という願いが、ページをめくるごとにじんわり伝わってきて、なんだか胸がじんわり温かくなります。詩の力ってすごいですね。松成さんの絵は、色味もタッチもやわらかくて、まるでその言葉たちがそっと寄り添ってくるような気持ちに。名前をもらって育ち、いつか自分の道を歩き始める子どもたちの姿を想像すると、なんだかいとおしくなってしまいます。最後に、みんなで手をつないで歌うシーンは、本当に感動的で、思わずうるっときました。普段あまり意識しない「名前」という存在が、こんなにも愛に満ちたものだったんだと再確認させてくれる一冊です。