中川ひろたかさん作、松成真理子さん絵の絵本『くまくんとつき』(自由国民社、2011年発行)は、秋の夜にぴったりのあったかストーリー。くまくんがおつきさまが大好きで、走れば追いかけてきて、疲れたらそっと寄り添ってくれる…そんなふたりのやさしい関係が描かれています。おかのうえでおしゃべりするシーンもあって、読んでると心がほんわか。9月生まれのお子様のプレゼントにもぴったりの1冊。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
松成 真理子(絵)
松成真理子さんは1959年生まれで、大阪府出身のイラストレーター・絵本作家。京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)を卒業して、広告や雑誌のイラストの世界から絵本の世界へステップアップ。デビュー作『まいごのどんぐり』(童心社)で第32回児童文芸新人賞を受賞したのがきっかけ。主な作品には『じいじのさくら山』『ふでばこのなかのキルル』(白泉社)、『たなばたまつり』『はるねこ』(講談社)、『せいちゃん』(ひさかたチャイルド)、『ころんちゃん』(アリス館)などたくさんあって、ほんわかあったかい絵柄と物語が魅力です。
おすすめ対象年齢
この絵本『くまくんとつき』は、主に幼児向けの読み聞かせ絵本。やさしい言葉とやわらかな絵で、小さな子どもでも共感しやすく、親子で楽しめるつくりだよ。シリーズとして「おたんじょう月おめでとう」のプレゼント向け企画でもあるから、2〜5歳くらいの幼児にぴったり。
レビュー
くまくんとおつきさまのやりとりが、とにかくやさしくて心にじんわりくるお話。走れば追いかけ、立ち止まれば待ってくれる…そんな関係ってすごく安心感がありますよね。おかのうえで向かい合っておしゃべりする場面は、夜の澄んだ空気や月の光が絵からも伝わってくるみたいで、読んでいて心がすーっと落ち着いた。贈り物としても喜ばれそうだし、自分の“おたんじょう月”を知るきっかけにもなりそう。優しさと温かさがぎゅっと詰まった1冊。