
『おでかけのまえに』は、筒井頼子さん作、林明子さん絵による絵本で、1981年に福音館書店から発行されました。この絵本は、日曜日の朝、ピクニックに出かけることを楽しみにしている女の子、あやこが主人公です。彼女はお母さんやお父さんのお手伝いをしようとしますが、うまくいかず失敗ばかり。それでも、家族はあやこの気持ちを大切にし、優しく見守ります。子どもの純粋な心と、それを包み込む家族の温かさが描かれた作品です。
略歴
筒井頼子
筒井頼子(つついよりこ)さんは1945年東京都板橋区生まれの絵本作家です。秋田県での幼少期や埼玉県での学生生活を経て、コピーライターとして働いた後、専業主婦となり子育てをしながら執筆を開始しました。1976年に福音館書店「こどものとも」で発表した『はじめてのおつかい』は、林明子さんが絵を担当し、子どもの成長を描く作品として長く愛されています。その後も『あさえとちいさいいもうと』や『いもうとのにゅういん』などで成功を収め、特に『いもうとのにゅういん』の英語版がエズラ・ジャック・キーツ賞を受賞しました。日常を温かく描く作風で、国内外で多くの読者に親しまれています。
林 明子(絵)
林明子(はやし あきこ)さんは、日本の絵本作家・イラストレーターとして多くの人々に親しまれています。1945年、東京都に生まれ、大学でグラフィックデザインを学びました。卒業後はデザイン事務所で働き、そこでの経験を生かしつつ、1970年代から絵本のイラストを手がけるようになります。林さんの作品は、子どもたちの日常の生活や心の成長を細やかに描写することに定評があり、特に「こんとあき」「おつきさまこんばんは」「クリスマスの三つのおくりものセット」などは、親子で楽しめる定番の作品として愛されています。また、彼女の絵本は、物語の温かさと優しい色合いのイラストが調和しており、読む人に安心感と親しみを与える魅力があります。そのキャリアを通じて、林さんは数多くの賞を受賞し、日本の絵本界で非常に重要な存在となっています。彼女の作品は国内外で高く評価され、翻訳もされているため、世界中の子どもたちにも親しまれています。
おすすめ対象年齢
『おでかけのまえに』の対象年齢は2歳から4歳程度とされています。特に2歳頃からの読み聞かせに適しており、幼い子どもが共感しやすい内容です。主人公のあやこが一生懸命お手伝いをしようとする姿は、小さな子どもたちが日常で経験する行動と重なり、親しみを感じやすいでしょう。また、シンプルな文章と温かみのある絵が特徴で、繰り返し読むことで言葉のリズムを楽しんだり、親子の会話が広がったりする絵本です。
レビュー
この絵本を読むと、子どもの純粋な気持ちや行動に対する親の対応について考えさせられます。あやこの失敗にも関わらず、家族は怒らずに優しく接し、子どもの成長を見守る姿勢が印象的です。また、林明子さんの柔らかいタッチのイラストが物語に温かみを加え、読者の心を和ませます。親子での読み聞かせを通じて、家族の絆や子どもの成長を感じることができる一冊です。