ベンジャミン バニーのおはなし/ビアトリクス・ポター

ビアトリクス・ポター作、いしいももこ訳の『ベンジャミン バニーのおはなし』は、1904年にイギリスで発表された絵本で、原題は『The Tale of Benjamin Bunny』です。日本語版は2019年に福音館書店からリニューアル出版されています。物語は、前作『ピーターラビットのおはなし』でマグレガーさんの畑に上着と靴を置き忘れたピーターが、いとこのベンジャミンと共に再び畑に忍び込み、失くした衣服を取り戻そうとする冒険を描いています。しかし、二人は予期せぬトラブルに巻き込まれ、ベンジャミンのお父さんに助けられることになります。この作品は、イギリスの田園風景を舞台に、小動物たちの生き生きとした姿を美しい水彩画で表現しており、100年以上にわたり世界中の子どもたちに愛され続けています。

略歴

ビアトリクス・ポター

ビアトリクス・ポター(Beatrix Potter,1866 – 1943)は、イギリスの絵本作家であり、自然科学者、環境保護活動家でもあります。裕福な家庭に生まれ、幼少期から自然や動植物に興味を持ちました。独学で絵を学び、観察力に優れた彼女は、細密な動植物のスケッチで注目されます。1902年、代表作『ピーターラビットのおはなし』を発表し、大ヒットとなりました。その後も動物を主人公とした絵本を次々と執筆し、児童文学の金字塔を築きました。また、晩年は湖水地方の環境保護に尽力し、多くの土地をナショナル・トラストに寄贈しました。彼女の作品は、今も世界中で愛されています。

石井桃子(訳)

石井桃子(いしいももこ、1907 – 2008)さんは、日本の児童文学作家・翻訳家で、子どもたちに優れた海外文学を紹介することに尽力しました。東京大学文学部を卒業後、出版社で働きながら翻訳を始め、やがて児童文学の世界で活躍するようになります。彼女は翻訳の名手として知られ、アメリカやヨーロッパの名作を日本語に翻訳し、多くの子どもたちに親しまれる作品を生み出しました。特に『クマのプーさん』や「ピーターラビット」シリーズの翻訳で高い評価を得ています。また、児童書編集者としても活動し、日本初の絵本専門出版社「岩波書店の岩波こどもの本」シリーズの立ち上げに携わり、質の高い絵本の普及に貢献しました。晩年には、自らの創作活動にも力を入れ、『ノンちゃん雲に乗る』などの作品で知られています。彼女の翻訳は、原作の魅力を忠実に伝えるだけでなく、日本語の美しさを引き出し、親しみやすい表現を用いる点で評価されています。彼女の活動は、日本における児童文学の発展に大きく寄与し、現在も多くの読者に影響を与え続けています。彼女の業績は、日本と世界の子どもたちを繋ぐ架け橋として輝き続けています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、読み聞かせの場合は4歳から、自分で読む場合は小学校低学年からがおすすめとされています。

レビュー

『ベンジャミン バニーのおはなし』は、前作と同様に緻密で美しいイラストと心温まるストーリーが魅力的です。ピーターとベンジャミンの冒険は、子どもたちに勇気や友情の大切さを伝えます。また、イギリスの田園風景や動物たちの生活が細やかに描かれており、読者は物語の世界に引き込まれるでしょう。親子で一緒に楽しめる作品として、ぜひ手に取ってみてください。

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