『べんとうべんたろう』(2012年・偕成社)は、中川ひろたかさんのユーモア溢れる文章と酒井絹恵さんの楽しいイラストで、だじゃれ満載の愉快な物語。主人公「べんとうべんたろう」は、エリーゼのためにお弁当を作ろうと決意。ごはんはベートーベンの「田園」から!玉子焼きは「白鳥の湖」、お茶はチャイコフスキー茶…と、音楽と食材がユーモラスにリンク!子どもは音やリズム、大人は仕込まれただじゃれにクスッと笑える内容です。一冊読んだら次のセリフが気になる、リズム感のある文章が魅力的。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
酒井 絹恵(絵)
酒井絹恵(さかいきぬえ)さんは、1972年千葉県生まれ。女子美術短期大学とセツ・モードセミナーで美術を学び、イラストレーターとして活動をスタート。2005年発表の作品『りんごちゃんとビートルカード』などを皮切りに、中川ひろたかさんとのコラボ作が注目されるように。代表作には『べんとうべんたろう』(2012年・偕成社)や『りんごちゃんとビートルカード』などがあり、だじゃれや音楽モチーフを効かせたユーモラスな絵本が人気です。偕成社の公式によれば、『べんとうべんたろう』は発売当初から子どもや保育者の間で話題となり、日本子どもの本研究会の選定図書にも選ばれています。現在はイラストや絵本制作を中心に、創作活動を続けるクリエイターです。
おすすめ対象年齢
対象年齢はおおよそ5歳〜小学生(6〜8歳)くらいです。5歳から楽しめると偕成社の情報にもあるように、ダジャレの面白さや絵のリズム感を理解できる年齢にぴったり。音楽のタイトルがネタになっているので、大人が読み聞かせるとさらに楽しさが伝わります。
レビュー
読んでいて何度も笑ってしまう一冊!「田園」からご飯、「白鳥の湖」からの玉子焼き…発想が自由すぎて最高です。酒井絹恵さんのイラストもポップでにぎやか、キャラクターの表情やお弁当の食材がとっても魅力的。読み聞かせすると、子どもたちはリズミカルな言葉に合わせて笑い、一緒に声を出したくなります。ダジャレの意味が分からなくても、テンポの良さで自然と引き込まれる印象。音楽と食材を掛け合わせる遊び心に脱帽。親子で楽しめるだけでなく、学校の読み聞かせでも盛り上がりそう。何度も読みたくなる元気な絵本です。