中川ひろたかさんと長谷川義史さんの名コンビによる『おたんじょうびのひ』(2006年、朔北社)は、誰にでもある“おたんじょうび”をテーマにした絵本。生まれたときのこと、家族のよろこび、誕生日の過ごし方など、子どもたちの身近な体験をユーモラスに描きます。語り口があたたかく、読み手と聞き手の間に自然な会話が生まれる内容です。シリーズ第一弾『きみたちきょうからともだちだ』に続く第二弾で、心がぽかぽかになる“自分の物語”を見つけられる一冊です。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
長谷川 義史(絵)
長谷川義史(はせがわよしふみ)さんは、1961年大阪府藤井寺市生まれ。 グラフィックデザイナーからイラストレーターを経て、2000年に『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』で絵本作家としてデビューしました。 2003年には『おたまさんのおかいさん』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。また、2008年には『ぼくがラーメンたべてるとき』で日本絵本賞と小学館児童出版文化賞を受賞するなど、多くの作品で高い評価を得ています。
おすすめ対象年齢
『おたんじょうびのひ』は、3歳ごろから小学校低学年くらいまでの子どもたちにおすすめです。特に、誕生日が待ち遠しい年齢の子どもにはぴったり。生まれた日のことに思いを馳せながら、家族との絆や「生まれてきてくれてありがとう」という気持ちを育むきっかけになります。
レビュー
「ぼくのときはどうだった?」「わたし、生まれたとき泣いてた?」と、読み終えたあとに会話がはずむ一冊。誕生日をテーマにしているけれど、お祝いだけではなく“生まれる”という出来事の背景や思いをしっかり伝えてくれる点が魅力です。中川さんの語り口は軽快でやさしく、長谷川さんの味わいある絵がぬくもりを添えています。家族で読めば、ちょっと照れくさいけど愛に満ちた思い出話がはじまりそう。小さな自分史として、子どもにとっても大人にとっても大切にしたくなる絵本です。