『ほね』は、堀内誠一さん作、福音館書店から1981年に刊行された「かがくのとも絵本」の一冊です。内容は「魚を食べると骨が残る。でもタコには骨がない。もし、あなたのからだに骨がなかったら、あれれ、立つこともできない」という導入から始まり、骨の働きや骨格の役割、関節や筋肉との関係などを、力強くシンプルな絵と言葉で描いています。出版社の紹介にも「骨の働きを力強い絵と文で描きます」という文言があり、骨がないと体がどのようになるか、また骨どうしや筋肉とどう協力して動けるか、という基礎的だけれど大切なからだの仕組みを、こどもにも理解しやすく伝える構成になっています。
略歴
堀内 誠一
堀内誠一(ほりうちせいいち,1932年 – 1987年)さんは、東京府向島(現・墨田区)出身のグラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナー、絵本作家です。父・堀内治雄も図案家で、堀内は幼少期からデザインに親しみました。14歳で伊勢丹百貨店に入社し、ウィンドウディスプレイやレタリングの仕事を担当。その後、アド・センター株式会社を設立し、雑誌『an・an』『POPEYE』『BRUTUS』『Olive』のロゴデザインを手がけました。また、絵本作家としても活躍し、『ぐるんぱのようちえん』や『たろうのおでかけ』など、多くの作品を残しました。1974年から1981年までフランス・パリ郊外に移住し、現地の文化や芸術にも触れ、パリ在住日本人向けミニコミ誌の創刊に参画しました。1987年に永眠されました。
おすすめ対象年齢
この絵本『ほね』の対象年齢は、おおよそ 4歳~小学校低学年 の子ども向きです。理由としては、骨や骨格、関節、筋肉の働きなど、身体の内部のしくみを理解する内容が含まれているため、ある程度言葉や概念の理解力が育っている時期がより楽しめるからです。 また、力強い絵が描かれており、比較や抽象的な考え(もし骨がなかったら…など)にも触れるので、好奇心が旺盛で理科的な興味を持ち始める幼児後期~小学生の子どもたちが特に読み聞かせや学びの場で活用しやすいと思います。
レビュー
私の感想として、『ほね』は、堀内誠一さんらしい簡潔でビジュアルの力が強い絵と言葉で、体の内部という普段見えない世界を、子どもの目にも生き生きと感じさせてくれる絵本だと思います。魚やタコなど身近な生き物を例にする冒頭は、子どもが「自分の体にも同じしくみがあるのだ」というつながりを直感的に理解できそうで、とても効果的です。もし骨がなかったらという想像のページでは、ただ怖がらせるのではなく、「骨があるってすごい」「骨のおかげでこう動けるんだ」という肯定的な見方も促していて、知識と気づきが一冊の中にぎゅっと詰まっていると感じました。絵のタッチはリアル過ぎず、でも細部がしっかりしているので、子どもが興味を持ちやすい。読み聞かせをする側としても、「ここを見て」「この骨はこうつながってるんだよ」と話を膨らませやすく、あとで調べたり、体を動かしてみたりするきっかけにできるなと思います。科学絵本としても子どもの「なぜ?」を刺激してくれる素敵な一冊です。


