柴田ケイコさんの絵本『パンどろぼう』は、子どもから大人まで楽しめるユーモアあふれる絵本シリーズです。物語は、見た目がパンそっくりの「パンどろぼう」というキャラクターが主役。パンが大好きで、どうしても我慢できずにパンを盗んでしまう「パンどろぼう」が、ドキドキしながらパンを盗むシーンや、ユーモラスな展開が魅力です。
絵本のストーリーはシンプルですが、柴田さんのユニークなイラストと、愛らしくも憎めない「パンどろぼう」のキャラクターが多くの読者を惹きつけています。また、ストーリーの中で「食べ物」や「友情」、「共感」についてもさりげなく触れられており、子どもたちに大切な価値観を伝えることができます。
シリーズとしては、続編の『パンどろぼう vs にせパンどろぼう』や『パンどろぼうとなぞのフランスパン』もあり、それぞれに新しいキャラクターや楽しい冒険が描かれています。親子で一緒に楽しみながら、「パンどろぼう」の行動を通して、欲望と友情について考えるきっかけにもなるでしょう。
温かみのあるタッチと、独特のストーリーテリングが特徴の『パンどろぼう』シリーズは、絵本好きな方にぜひおすすめしたい一冊です。
柴田ケイコの略歴
柴田ケイコさんは、日本の絵本作家であり、イラストレーターとしても活躍しています。高知県出身で、奈良芸術短期大学ビジュアルデザインコース卒業後、グラフィックデザイナーとして活動を開始。長年のキャリアを経て、独立してイラストレーターとなりました。
柴田さんの作品は、独特のタッチとユーモア、そして温かみのあるイラストが特徴です。イラストレーターとして広告や雑誌、書籍の装画などさまざまな分野で活躍する一方、絵本作家としても注目されています。特に『パンどろぼう』シリーズが大ヒットし、子どもたちや親世代に愛されています。この作品は日本絵本賞読者賞などを受賞し、2020年の発売以降、シリーズ化もされるなど、多くの人気を集めました。
彼女の代表作である『パンどろぼう』シリーズは、フランス語や中国語などに翻訳され、海外でも人気を博しており、日本国内外でますます注目される絵本作家です。
おすすめ対象年齢
『パンどろぼう』は、低学年向けの絵本として読み聞かせに適しています。シュールでお茶目なキャラクターが人気で、2歳からでも読み聞かせに使用できるという声もあります。
レビュー
『パンどろぼう』は、まずキャラクターの愛らしさとユーモアのセンスが光る、とても楽しい絵本だと感じました。「パンどろぼう」はパンそのものの見た目で、子どもたちが思わず手に取って笑ってしまうようなビジュアルです。キャラクターがパンを盗むという少し悪さをしながらも、どこか憎めない性格で、読者として「どうなるんだろう?」とワクワクさせられます。
また、物語のテンポも良く、読み聞かせにぴったりです。絵本の中で繰り広げられるドタバタ劇は子どもにとっての「冒険心」や「いたずら心」に共鳴する部分があり、子どもだけでなく大人も一緒に楽しめます。さらに、パンが持つ温かみやふわふわとした雰囲気がイラストにうまく表現されており、柴田さんならではの温かみのあるタッチが、登場キャラクターたちをより魅力的にしています。
個人的には、ただの面白い絵本というだけでなく、少しワルいことをしてしまう「パンどろぼう」が、自分の行動を通じて成長していく様子も描かれているところに魅力を感じました。パンを盗む理由やその後の展開を通して、欲望や友情、許しといったテーマも感じ取れるため、読み終えた後には「どんな気持ちでパンを盗んだのか」「どんな風に友だちができたのか」など、親子で話し合うきっかけにもなりそうです。
総じて『パンどろぼう』は、笑いながら読めるだけでなく、心が少しほっこりする、そんな温かい気持ちにさせてくれる絵本だと思います。
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