こぶたのブルトン あきは うんどうかい/中川ひろたか

『こぶたのブルトン あきは うんどうかい』(作:中川ひろたか/絵:市居みか、2006年 アリス館)は、ブルトンと仲間たちが運動会で大はしゃぎする、にぎやかで元気いっぱいの絵本です。玉入れや綱引き、パン食い競争といったおなじみの競技に、ブルトンやイタチのアンドレ、ダルマのタカサキさんが大奮闘。赤組・白組の熱い勝負の行方にもドキドキです。運動会の楽しさと、友だちとのやりとりの面白さがぎゅっと詰まった一冊。秋の行事をテーマに、読み聞かせにもぴったりのユーモラスな作品です。

略歴

中川 ひろたか

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

市居 みか(絵)

市居みか(いちいみか,1968年・兵庫県生まれ)さんは神戸大学教育学部美術科を卒業後、電器メーカーで企画・デザインに携わった後、絵本作家に転身。2001年に『ヘリオさんとふしぎななべ』(アリス館)で絵本作家デビュー。その後『イモムシかいぎ』『ろうそくいっぽん』『ねこのピカリとまどのほし』『いっぽんみちをあるいていたら』など多数の作品を発表し、2006年から始まる「こぶたのブルトン」シリーズでも人気を博しています。現在はイラスト・絵本制作のほか、ギャラリーでの個展やワークショップ講師、絵話塾での授業など幅広く活動中。温かみある画風と、登場キャラクターたちのユーモアあふれる表現が特徴です。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、おおむね 4歳〜6歳の幼児期がメイン。運動会という身近なテーマや、短めの分かりやすい文体、リズミカルな展開が読者を引き込みます。「綱引き」や「パン食い競争」など競技の動きもイラストと一緒に楽しめ、体験を思い出しながら共感できる構成。保育園や幼稚園での読み聞かせや、秋の行事前にぴったりの一冊です。

レビュー

『こぶたのブルトン あきは うんどうかい』は、運動会のワクワク感とユーモアがたっぷり詰まった楽しい一冊。ブルトンたちの個性豊かな活躍に笑いながら読み進めましたが、ラストの勝敗にはちょっとびっくり。えっ、赤組それって反則では…?と思わずツッコミたくなる展開も、子どもたちにとってはまた面白さのひとつ。運動会あるあるがつまっていて、読むたびに新しい発見があります。読んだあと、「自分だったら何に出たい?」なんて会話がはずむ、秋にぴったりの絵本です。