だってだってのおばあさん/佐野 洋子

佐野洋子さんが作・絵を手がけた絵本『だってだってのおばあさん』です。「だってわたしはおばあさんだから」が口癖のおばあさんが、99歳の誕生日に5歳になって新しい生活を始める、ユーモアあふれるお話です。佐野洋子さんらしい、シンプルながらも力強いタッチの絵が、おばあさんの表情や行動を生き生きと描いています。この作品は、2009年にフレーベル館から出版されました。年齢を重ねることの意味や、新しいことに挑戦する喜びを、子どもから大人まで感じられる素敵な絵本です。

略歴

佐野 洋子

佐野 洋子さん(さの ようこ、1938年 – 2010年)は、日本の絵本作家、エッセイスト、翻訳家として知られています。中国・北京で生まれ、幼少期を北京や大連で過ごしました。戦後、家族とともに日本に引き揚げ、山梨県や静岡県で育ちました。武蔵野美術大学デザイン科を卒業後、白木屋デパートの宣伝部でデザイナーとして勤務しました。その後、ドイツのベルリン造形大学でリトグラフを学び、帰国後に絵本作家としての活動を開始しました。代表作『100万回生きたねこ』(1977年)は、哲学的な内容で大人からも高い評価を受けています。また、エッセイや『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』の翻訳など海外絵本の翻訳も手がけ、多彩な才能を発揮しました。2003年には紫綬褒章を受章し、2004年にはエッセイ集『神も仏もありませぬ』で小林秀雄賞を受賞しています。

おすすめ対象年齢

一般的に5歳くらいから小学校低学年のお子さんにおすすめです。ただ、人生の深みやユーモアが込められているので、読み聞かせを通して、親御さんがお子さんと一緒に考えるきっかけになることも多いです。人生の先輩であるおばあさんの変化を描いているため、テーマを理解できる年齢になると、より深く楽しめます。

レビュー

この絵本、なんだかすごく勇気をもらえます。年を取ると、「もう歳だから」と諦めてしまうことが増えがちですが、5歳になったおばあさんの自由で楽しそうな姿を見ていると、いくつになってもやりたいことに挑戦していいんだなと思えます。佐野洋子さんの絵は、おばあさんの真剣な表情や、新しい生活にワクワクしている気持ちが伝わってきて、とても魅力的です。大人になってから読むと、子どもの頃とはまた違った感動がある、そんな奥深さを感じました。