ドロシー・マリノさんが作・絵、間崎ルリ子さんが訳を手がけた絵本『くんちゃんのはじめてのがっこう』です。今日から小学校に通うこぐまのくんちゃんが、期待と不安を抱えながら登校する様子を描いています。道中ではごきげんだったくんちゃんが、学校で不安になり、先生の優しさに触れて、再び笑顔を取り戻す心温まる物語です。初版原題は『Buzzy Bear’s First Day at School』、初版発行国はアメリカ、初版発行年は1967年で、日本語版は1982年にペンギン社から出版されました。入学・入園を控えたお子さんにぴったりの一冊です。
略歴
ドロシー・マリノ
ドロシー・マリノ(Dorothy Marino,1908 – 1993)さんは、アメリカの児童文学作家・イラストレーターです。彼女は、子どもたちの身近な体験や心の動きを、ユーモラスで温かい眼差しで描くことを得意とされていました。そして作品に登場する動物たちは、まるで人間の感情を持っているかのように生き生きと描かれ、特に子どもたちの共感を呼ぶことが大きな魅力です。代表作としては、『くんちゃんのはじめてのがっこう』の他にも、日本でも出版されている「こぐまのくんちゃん」シリーズなどがあります。子どもたちが共感できるような、日々の出来事をやさしく描き出す作風が魅力的ですね。
まさき るりこ(訳)
まさきるりこ(間崎ルリ子)さんは、1937生まれの長崎県出身の翻訳家です。慶應義塾大学を卒業された後、アメリカに渡り、ボストンの大学院で図書館学を学びました。その後、ニューヨークの公共図書館児童室で勤務された経験をお持ちです。1964年に『いたずらこねこ』(福音館書店)の翻訳を担当し、その後もリズム感ある日本語と読みやすさで親子に親しまれています。1968年からは、ご自身で神戸市に私設の児童図書館「鴨の子文庫」を設立し、47年間も主宰されました。また、東京子ども図書館の評議員や理事も務められています。翻訳家として『もりのなか』の他にも、多くのの絵本を翻訳されているそうです。彼女の翻訳によって、多くの素晴らしい海外の絵本が日本に届けられてきました。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、だいたい3歳くらいから6歳くらいのお子さんにおすすめです。特に、幼稚園や小学校への入園・入学を控えているお子さんには、とても心強い味方になってくれると思います。新しい環境への不安な気持ちを、くんちゃんに重ねて共感することができますし、先生の温かい対応から、安心して一歩を踏み出す勇気をもらえるはずです。
レビュー
この絵本を読んで、初めて学校に行くときの、あのワクワクとドキドキが入り混じった気持ちを思い出しました。くんちゃんが最初、不安になって教室から逃げ出してしまう場面は、とても共感できますよね。でも、そんなくんちゃんを無理やり連れ戻したりせず、そっと見守ってくれる先生が本当に素敵だなと思いました。学校の楽しさに気づいたくんちゃんが、次の日から笑顔で登校する姿が想像できます。子どもたちの気持ちに寄り添った、とてもやさしい絵本でした。


