小さな魔女のカプチーヌ/タンギー・グレバン

『小さな魔女のカプチーヌ』は、作:タンギー・グレバンさん、絵:カンタン・グレバンさん、訳:江國香織さんによる、ベルギー生まれの絵本です。魔女メガンのもとで魔法の修行を始めた見習い魔女カプチーヌは、まだ失敗ばかり!ある日、呪文を間違えて、親友の料理番ニコラを小さな竜に変えてしまいます。元の姿に戻すために、カプチーヌと竜になったニコラは、様々な珍しい動物がいる動物園へ!失敗を恐れず、勇気をもって問題を解決しようとするカプチーヌの成長を描いた冒険物語です。初版原題は『Capucine la petite sorcière』で、初版発行国はベルギー、発行年は2002年とみられます。日本語版は2003年に小峰書店から出版されました。

略歴

タンギー・グレバン

タンギー・グレバン(Tanguy Gréban)さんは、1974年にベルギーのブリュッセルで生まれました。映画制作や写真家など、様々な分野で活躍されていますが、主にカンタン・グレバンさんの絵による絵本の文を手がけています。兄弟での共作が多いのが特徴です。代表作には、『カプチーヌ』(Capucine)、夢の世界で冒険する『小さな魔女のカプチーヌ ゆめのくにへ』(Capucine au pays des rêves)など、カプチーヌを主人公とした作品があります。彼の物語は、温かいユーモアとファンタジーに満ちており、失敗から学んで成長する主人公の姿を生き生きと描いています。

カンタン・グレバン(絵)

カンタン・グレバン(Quentin Gréban)さんは、1977年にベルギーのブリュッセルで生まれ、現在もブリュッセルを拠点に活動するイラストレーターです。ブリュッセルのサン・リュック美術学院でイラストレーションを学び、1999年以来、フランス語圏を中心に65冊以上の児童書を発表し、40カ国語以上に翻訳されています。彼のイラストは、水彩画を基調とした優しく洗練されたタッチと、細部まで描き込まれた緻密な描写が魅力です。2000年に『Les contes de l’Alphabet』でサン=テグジュペリ賞を受賞。ボローニャ国際絵本原画展にもたびたび選出されています。代表作には、自身の文と絵による『大きくなったらなんになる?』(『Quand je serai grand…』)や、『ママ、大好き』(『Mommy, I Love You』)など、動物をテーマにした温かい絵本も多く、世界中の読者に愛されています。

江國 香織(訳)

江國香織(えくにかおり)さんは、1964年生まれの小説家・詩人です。お父様は児童文学作家の江國滋さんで、その影響もあり、ご自身も童話作家としてデビューされました。その後は小説家として大活躍され、特に女性の心理を繊細に描き出す作風で、多くの読者を魅了しています。代表作は、映画化もされた『東京タワー』や、直木三十五賞を受賞された『号泣する準備はできていた』など、多数あります。また、絵本の翻訳も精力的に行っておられ、『マドレーヌのクリスマス』をはじめとする「マドレーヌ」シリーズの翻訳家としても知られています。彼女の詩的で美しい言葉選びが、海外の名作に新たな命を吹き込んでいます。

おすすめ対象年齢

この絵本は、小学校の低学年(4歳~7歳くらい)のお子さんにおすすめです。カプチーヌが呪文を間違えるというコミカルな展開は、読み聞かせでも盛り上がりますし、呪文を解くために動物園で繰り広げる冒険と問題解決のプロセスは、物語を追う力がついてきたお子さんにぴったりです。カンタン・グレバンさんの美しい水彩画と、ユーモラスな竜になったニコラの姿は、幅広い年齢層の目を惹きつけますよ。

レビュー

もう、このカプチーヌの失敗っぷりが、可愛らしくてたまりません!呪文を間違えて、親友を小さな緑色の竜にしちゃった!という大ピンチなのに、竜になったニコラがどこかのんびりしているのが最高にユーモラスなんです。カンタン・グレバンさんの絵は、水彩ならではの透明感と、光があふれる温かさがあり、魔法使いの住む館や、動物園の奇妙な生き物たちまで、すべてが魅力的に描かれています。特に、ニコラとカプチーヌが二人で力を合わせて、竜の姿を解くための材料を探すシーンには、友情の力が輝いていますね。失敗してもめげないカプチーヌの前向きな姿勢に、子どもたちもきっと勇気をもらえるはずです!