コトコトでんしゃ/とよた かずひこ

とよたかずひこさんの『コトコトでんしゃ』(2007年 アリス館)は、赤ちゃん向け絵本シリーズ「あかちゃんのりものえほん」の第一作です。物語は、でんしゃが「コトコトコトン」と音を立てて走り、トンネルをくぐりながら進んでいくシンプルな展開。途中ではうしさんが登場し、「モー、モー」と声をかけてくれるなど、リズムのある言葉と繰り返しの音が心地よく響きます。小さな子どもでも親しみやすく、乗り物好きな子はもちろん、言葉あそびの感覚で楽しめる一冊です。テンポの良さと安心感のある絵柄が、親子の読み聞かせにぴったりです。

略歴

とよた かずひこ

とよたかずひこ(本名:豊田 一彦)さんは、1947年、宮城県仙台市に生まれました。早稲田大学第一文学部を卒業されています。大学卒業後はフリーのイラストレーターとして活動し、長女の誕生をきっかけに絵本作家へと転身しました。1997年には『でんしゃにのって』で厚生省中央児童福祉審議会児童文化財特別推薦を受け、2001年には『どんどこ ももんちゃん』で第7回日本絵本賞を受賞しています。また、『あめですよ』は小学1年生の国語教科書(東京書籍)に採用されるなど、多くの作品が親しまれています。

おすすめ対象年齢

『コトコトでんしゃ』は0歳から2歳ごろの赤ちゃんにおすすめの絵本です。短い言葉と繰り返しのリズムが特徴で、まだことばが分からない子でも音の響きやリズム感を楽しめます。鮮やかでやさしい色合いの絵は赤ちゃんの目にも優しく、親子で安心して読める内容になっています。初めてののりもの絵本としてぴったりです。

レビュー

読んでみると、電車の「コトコトコトン」というリズムがとても心地よく、まるで一緒に揺られているような気持ちになります。言葉がシンプルだからこそ、声に出すと自然に楽しくなり、赤ちゃんも思わず耳を傾けてくれる感じがします。特にトンネルを抜ける場面や、うしさんの「モー」が出てくる場面は、子どもが喜んで反応してくれるところ。繰り返し読むうちに親子で「コトコト」と声を合わせて楽しめるのも魅力です。赤ちゃんにとって絵本の入り口になるような安心感のある作品だと思いました。