ドン・フリーマンさんが作・絵、なかがわ ちひろさんが訳を手がけた絵本『ダッシュだ、フラッシュ!』です。この物語は、怠け者の犬フラッシュが、妻のサッシェに励まされて電報配達の仕事に奮闘する姿を描いています。一生懸命働く中で、再びやる気をなくしてしまうのですが、最後の心温まるハッピーエンドがとても素敵です。初版発行国はアメリカ、発行年は1974年でした。日本語版は2009年にBL出版から出版されています。ドン・フリーマンさんの描く犬たちの表情がとにかくかわいくて、思わず笑顔になってしまいます。
略歴
ドン・フリーマン
ドン・フリーマン(Don Freeman, 1908-1978)は、アメリカ出身の画家・絵本作家・イラストレーター。ニューヨークで画家として活動したのち、1950年代以降、児童書や絵本の執筆・挿絵を多数手がけました。代表作といえばまず『Corduroy』(日本語版『くまのコールテンくん』)が長年にわたって親しまれており、全米教育協会「教師が選ぶ子ども向け本TOP100」にも選ばれています。続編として1978年に『コーちゃんのポケット』(A Pocket for Corduroy)も書かれ、絵本だけでなく、背景にニューヨークの街や人々への観察眼からくる静かな感情描写がある点が高く評価されています。
なかがわちひろ(訳)
なかがわちひろ(中川千尋)さんは、1958年に関東地方で生まれ、転勤族の家庭で育ちました。小学4年生の秋から中学3年生の秋まで仙台で過ごし、高校時代にはアメリカ・サンディエゴに1年間留学しました。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業後、劇団テアトル・エコーの座付き翻訳者としてコメディの翻訳に従事しましたが、子どもの本に強い関心を抱き、福武書店児童書編集部での翻訳活動を開始しました。以降、児童文学の作家、画家、翻訳家として多彩な作品を手がけています。翻訳作品には『ふしぎをのせたアリエル号』や『ちいさなあなたへ』などがあり、創作絵本には『のはらひめ』や「おたすけこびと」シリーズなどがあります。受賞歴も豊富で、『どうぶつがすき』で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』で野間児童文芸賞を受賞しています。彼女の作品は、子どもの豊かな感性を育むものとして高く評価されています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は、一般的に4歳くらいから小学校低学年のお子さんにおすすめです。物語は少し長めですが、ひらがなで書かれていますので、文字が読めるようになってきたお子さんなら自分で読み進められます。また、お仕事の大切さや、頑張ることの尊さをテーマにしているので、読み聞かせを通して子どもたちの学びにもつながると思います。可愛らしい犬たちの絵も、子どもたちの興味を引くポイントです。
レビュー
この絵本を読んで、フラッシュの気持ちがすごくよくわかるなと思いました。最初は働くのが面倒だけど、いざ始めてみると頑張れちゃう。でも、ふとしたことでやる気がなくなっちゃう……。そういうことって、大人でもありますよね。でも、フラッシュは妻のサッシェや周りの人たちに支えられて、また立ち直っていくんです。その様子がとても愛らしくて、応援したくなりました。ドン・フリーマンさんの絵は、犬たちの感情が豊かに表現されていて、見ているだけでストーリーが伝わってきます。最後の一コマは、本当に幸せな気持ちになりました。


