うさこちゃんのはたけ/ディック・ブルーナ

『うさこちゃんのはたけ』は、オランダの絵本作家ディック・ブルーナによるミッフィーシリーズの一冊で、原題は De tuin van Nijntje(オランダ、2000年発行)。うさこちゃんが自分の畑でにんじんやおはなを育てる姿が描かれています。日本語版は2005年に福音館書店から出版され、訳はまつおかきょうこさん。土を耕し、水をあげて、芽が出て、花が咲くという、シンプルだけど充実感のある園芸体験を、ブルーナらしい明快な絵とやさしい言葉で表現。自然のリズムや育てる楽しさが伝わる1冊です。

略歴

ディック・ブルーナ

ディック・ブルーナ(Dick Bruna、1927年〜2017年)は、オランダ・ユトレヒト生まれの絵本作家・グラフィックデザイナー。父の出版社でデザインの仕事をするかたわら、1953年ごろから絵本制作を開始。代表作は「うさこちゃん」シリーズで、世界的に知られるキャラクター「ミッフィー(nijntje)」を誕生させました。ミニマルな線と明快な色づかいで、子どもから大人まで長く愛されています。著作は50か国以上で翻訳され、総発行部数は8500万部以上にのぼります。

松岡 享子(訳)

松岡享子(まつおかきょうこ,1935-2022)さんは、日本の児童文学研究者、翻訳家、図書館司書です。神戸女学院大学を卒業後、ウェスタン・ミシガン大学で修士号を取得されました。帰国後は、福音館書店に勤務し、東京都立日比谷図書館で児童サービスにも携わられました。1974年には「東京子ども図書館」を設立し、児童書の普及に尽力されました。代表作に『とこちゃんはどこ』『おふろだいすき』、また、『しろいうさぎとくろいうさぎ』や「くまのパディントン」などの翻訳も手掛けられました。著作・翻訳は200冊以上にのぼり、文化功労者としても顕彰され、児童文学の発展に大きく貢献されました。

おすすめ対象年齢

対象年齢は、読んであげるなら2歳頃から。畑で育てるよろこびや、自然の変化を素直に感じ取れる年ごろの子にぴったりです。絵と言葉がとてもシンプルなので、はじめての絵本体験にもおすすめ。植物を育てるきっかけにもなりそうで、親子で一緒にプランター菜園を始めるきっかけにもなるかも。

レビュー

「育てるって、たのしい!」そんな気持ちをストレートに伝えてくれる絵本です。うさこちゃんが種をまき、水をやり、じっと待つ姿に、小さな努力の大切さと成長の喜びを感じました。にんじんが育ったときのうれしそうな表情に、ついこちらも笑顔に。ブルーナさんのシンプルな線と色が、自然の美しさを素直に表現していて、子どもにもとても伝わりやすいです。園芸がテーマの絵本って意外と少ないので、ちょっとめずらしい一冊かも。春にぴったりの絵本です!