にじいろのさかなとおおくじら/マーカス・フィスター

作・絵:マーカス・フィスター、訳:谷川俊太郎『にじいろのさかなと おおくじら』(原題:Der Regenbogenfisch stiftet Frieden)は、1999年に講談社から発行されたシリーズ第3弾。今回のテーマは「誤解と対話」。にじうおたちの前にあらわれた大きなくじら。見た目がこわくて、なんとなく怖がっていたら、だんだんと不安や不信がふくらみ、ついに大げんかに。でも、にじうおは勇気を出して「話してみよう」と決意します。相手を知ろうとする気持ちが大切だと気づかせてくれる、心あたたまるストーリーです。

略歴

マーカス・フィスター

マーカス・フィスター(Marcus Pfister)さんは、1960年スイス・ベルン生まれの絵本作家・イラストレーターです。ベルンの美術学校でグラフィックデザインを学び、広告業界を経て絵本の世界へ。1992年に発表した『にじいろのさかな(原題:der regenbogenfisch)』が世界的な大ヒットとなり、現在では50か国以上で翻訳され、多くの子どもたちに愛されています。透明感のある美しいイラストが特徴で、水彩とホイル加工を組み合わせた独自の技法も魅力です。

谷川俊太郎(訳)

谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう, 1931年-2024年)さんは、東京生まれの詩人、翻訳家、絵本作家です。1952年に詩集『二十億光年の孤独』でデビューし、その独創的で感受性豊かな詩風が注目を集めました。以来、詩だけでなく、絵本や脚本、翻訳など多岐にわたる分野で多才な才能と日本文学への多大な貢献を物語っています。
絵本分野では、レオ・レオニの『スイミー』や『フレデリック』の翻訳で知られ、その簡潔で美しい日本語訳が作品に新たな命を吹き込みました。また、絵本『もこ もこもこ』や詩画集『ことばあそびうた』など、自身のオリジナル作品でも多くの読者に親しまれています。
受賞歴も多く、読売文学賞(1983年)、野間児童文芸賞(1988年)、朝日賞(1996年)など、国内外で高く評価されました。晩年には国際的な詩の賞も受賞し、日本文学の世界的な地位向上にも寄与しました。詩を通じて日常の深さを表現し続け、2024年に永眠されました。その作品と影響は、今も多くの人々に愛されています。

おすすめ対象年齢

『にじいろのさかなと おおくじら』の対象年齢は3歳〜7歳ごろ。お友だちとの関係や、気持ちのすれ違いを経験しはじめる時期の子どもたちにぴったりです。感情や誤解をどう乗り越えるかを、やさしく楽しく伝えてくれます。読み聞かせにもおすすめ!

レビュー

この作品は、「なんでわかってくれないの?」って思うこと、子どもにも大人にもあるよね、っていう気持ちをふわっと包んでくれます。にじうおがくじらと向き合おうとする姿に、ちょっと感動。話し合うこと、誤解をほどくことの大切さがすごく自然に描かれていて、「話してみる」っていう一歩がこんなに尊いんだなって感じました。絵も相変わらずきれいで、くじらの迫力とやさしさが伝わってくるところも素敵です!