カンガルーの子どもにも かあさんいるの?/エリック・カール

エリック・カール作の『カンガルーの子どもにも かあさんいるの?』(原作名:Does a Kangaroo Have a Mother, Too?)は、2000年にアメリカで発行された絵本です。美しいコラージュイラストと簡潔な文章で動物たちの親子関係を描き、全ての動物の子どもに母親がいることを教えてくれる作品です。繰り返しのリズムが心地よく、小さな子どもでも親しみやすい構成になっています。動物に興味を持ち始めた子どもにもおすすめです。エリック・カール特有の色鮮やかなイラストが親子の温かな絆を描き出し、読むたびに新たな発見を楽しめる一冊です。

略歴

エリック・カール

エリック・カール(Eric Carle、1929 – 2021年)は、アメリカを代表する絵本作家・イラストレーターです。彼はドイツで育ち、14歳の時にアメリカから家族とともに移住しました。戦時下の厳しい生活の中、彼の芸術の才能は養われ、デザインやアートへの興味が深まっていきました。その後、アメリカへ戻り、ニューヨークで学び、卒業後は広告業界でグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートしました。そんな中、彼のイラストを見たビル・マーチンの依頼で『くまさんくまさんなにみてるの?』の挿絵を手がけたことがきっかけで、絵本作家としての道が開けます。
1969年には、代表作となる『はらぺこあおむし』を出版。この作品は世界中で翻訳され、子どもたちに親しまれる名作となりました。カラフルでコラージュ技法を用いた独特な作風が特徴で、作品には自然や成長をテーマにしたものが多く、子どもたちの好奇心や想像力を刺激するものが多いです。
その後も多くの絵本を手がけ、教育的で遊び心のある作品を発表し続けました。彼の作品は、視覚的な美しさだけでなく、インタラクティブな要素を取り入れ、子どもたちが実際に体験しながら学べる構成が多いことでも知られています。

さのようこ(訳)

佐野 洋子さん(さの ようこ、1938年 – 2010年)は、日本の絵本作家、エッセイスト、翻訳家として知られています。中国・北京で生まれ、幼少期を北京や大連で過ごしました。戦後、家族とともに日本に引き揚げ、山梨県や静岡県で育ちました。武蔵野美術大学デザイン科を卒業後、白木屋デパートの宣伝部でデザイナーとして勤務しました。その後、ドイツのベルリン造形大学でリトグラフを学び、帰国後に絵本作家としての活動を開始しました。代表作『100万回生きたねこ』(1977年)は、哲学的な内容で大人からも高い評価を受けています。また、エッセイや『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』の翻訳など海外絵本の翻訳も手がけ、多彩な才能を発揮しました。2003年には紫綬褒章を受章し、2004年にはエッセイ集『神も仏もありませぬ』で小林秀雄賞を受賞しています。

おすすめ対象年齢

『カンガルーの子どもにも かあさんいるの?』は、主に3歳からの幼児を対象としています。繰り返しのあるリズムやシンプルな文章は、言葉を覚え始めた子どもにも分かりやすく、親子の読み聞かせにも最適です。また、動物に興味を持ち始めた子どもが楽しめる要素も多く、少し上の年齢の子どもにも十分楽しんでもらえる内容です。

レビュー

エリック・カールの作品の中でも、『カンガルーの子どもにも かあさんいるの?』は動物たちの親子をテーマにした優しいメッセージが印象的です。動物の子どもたちと母親のつながりを、カールらしい大胆で鮮やかなコラージュで描いており、見るだけでも楽しめる一冊です。繰り返しのフレーズが心地よく、小さな子どもでもリズムに乗って一緒に楽しめる点が魅力的です。また、絵本の最後に登場する動物たちの名前リストが教育的で、親子の会話を広げるきっかけになると感じました。親子の愛情を感じる温かい内容が、読み聞かせの時間をより特別なものにしてくれる一冊だと思います。

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