『えんそくバス』(1998年・童心社)は、中川ひろたかさんのテンポのよいお話と、村上康成さんの明るくにぎやかな絵が魅力の、遠足がテーマの絵本。朝、園長先生が「寝坊しないように、お弁当忘れないように」と言ったのに、園長先生まさかの寝坊! バスに乗り遅れ、ひとりで公園に走ってくる羽目に。しかもお弁当も忘れてしまい、子どもたちに分けてもらうという展開に、思わずクスッと笑ってしまいます。園長先生の人間味があふれる、楽しい遠足絵本です。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
村上 康成(絵)
村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は3歳〜小学校低学年くらい。遠足という身近なテーマと、テンポの良いお話が子どもたちの心をつかみます。園長先生のうっかりエピソードは、笑いながら聞けるので読み聞かせにもぴったり。園や家庭でも楽しめる一冊です。
レビュー
園長先生があんなに堂々と寝坊するなんて、子ども目線で読むと最高におもしろい!絵の表情も豊かで、園長先生のドタバタっぷりがとてもリアル。公園での遊びやお弁当の場面も楽しそうで、「遠足っていいな」と素直に思える作品です。子どもたちがお弁当を分けてあげる場面には、やさしさがぎゅっと詰まっていて、笑いとあたたかさが同居する一冊でした。先生たちにもおすすめ。読み聞かせで盛り上がること間違いなしです!