竹下文子さん作、鈴木まもるさん絵の『そらとぶクレヨン』(2006年 金の星社)は、子どもたちが大好きなクレヨン遊びをテーマにした楽しい絵本です。ページを開くと、赤・青・黄…といろんな色のクレヨンが次々に登場し、動物や乗り物、空を飛ぶ不思議な世界まで広がっていきます。リズミカルな文章と、鈴木まもるさんの温かみあるイラストが相まって、まるで自分も一緒に絵を描いているような気持ちにさせてくれます。読み聞かせにもぴったりで、親子で「今日はどんな絵を描こうかな」と会話が広がる一冊です。創造力と想像力を伸ばし、色の楽しさを感じられる作品です。
略歴
竹下 文子
竹下文子(たけしたふみこ)さんは1957年福岡県生まれ、東京学芸大学卒業。大学在学中から童話の執筆を始め、1978年に「月売りの話」で日本童話会賞を受賞。以降、『星とトランペット』『黒ねこサンゴロウ』シリーズなどで路傍の石幼少年文学賞を受賞し、長年にわたって児童文学・絵本の世界で活躍されています。代表作には『せんろはつづく』『ひらけ!なんきんまめ』『なまえのないねこ』など、受賞歴も多数(絵本にっぽん賞、産経児童出版文化賞、講談社絵本賞など)。静岡県在住で、多くの子どもたちに親しまれている作家です。
鈴木 まもる(絵)
鈴木まもるさんは1952年東京生まれ。東京芸術大学工芸科を中退後、1980年に『ぼくの大きな木』で絵本作家としてデビュー。作品数は200冊以上にのぼります。1995年に「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さし絵賞を、2006年に『ぼくの鳥の巣絵日記』で講談社出版文化賞絵本賞、2015年には『ニワシドリのひみつ』で産経児童出版文化賞JR賞など数々の受賞歴あり。伊豆半島に在住し、画家・絵本作家として活動する傍ら、鳥の巣研究家として収集・展覧会・講演なども行っています。
おすすめ対象年齢
『そらとぶクレヨン』は、2歳頃から小学校低学年くらいまで幅広く楽しめる絵本です。短いフレーズでテンポよく進むので、小さなお子さんでも耳でリズムを感じながら楽しめますし、少し大きくなった子どもには「自分も描いてみたい!」という創作意欲を引き出してくれます。親子の読み聞かせや幼稚園・保育園での集団読み聞かせにもおすすめです。
レビュー
この絵本を読んでいると、クレヨンで描いた絵がほんとうに空を飛び出して、世界を自由に駆け巡るようなワクワク感に包まれました。リズミカルな文章は声に出して読むとさらに楽しく、子どもが自然と次の展開を待ちわびるように目を輝かせるのが印象的です。鈴木まもるさんの絵はあたたかく、カラフルな色づかいがページをめくるごとに気分を明るくしてくれます。読み終わったあと、子どもと一緒に「何を描こうかな」と実際にクレヨンを手に取る流れになるのも魅力的で、親子で創造の世界を共有できる素敵な絵本だと感じました。


