西村敏雄さんの絵本『もりのおふろ』(2008年 福音館書店)は、動物たちが森の大きなおふろに集まってくる、楽しいお話です。ライオン、ゾウ、ウサギなど、次々と登場する仲間たちが「ごしごし しゅっしゅ」と背中を洗い合い、最後はみんなで一緒に「ドボーン!」と湯船に飛び込みます。お湯につかれば「ごくらく、ごくらく」。シンプルな繰り返しのリズムとコミカルな絵で、読み聞かせすると自然に声が揃いそう。親子で声に出して楽しめる、あたたかさとユーモアがあふれる一冊です。
略歴
西村 敏雄
西村敏雄(にしむらとしお,1964年愛知県生まれ)は、東京造形大学デザイン科卒。家具やテキスタイルのデザイン仕事を経て絵本作家に転身し、第1回日本童画大賞最優秀賞を受賞。代表作に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』など多数あり、キャッチーで温かみのある絵が特徴です。『いろいろおふろはいり隊!』でも、野菜キャラたちに豊かな表情とユーモアを与え、読者をぞの世界へ引き込みます。インタビューでは「人の顔や日常のちょっとした表情にヒントを得る」と語っており、親しみのある作風の背景がうかがえます。
おすすめ対象年齢
対象年齢は2歳ごろからがおすすめです。動物が次々に登場する展開や「ごしごし」「どぼーん」といった擬音語は、小さな子どもでもリズムに乗って楽しめます。絵もはっきりとしていて、表情がユーモラスなので、読み聞かせで盛り上がること間違いなし。おふろという身近なテーマもあり、日常生活と結びつけやすいので、はじめての絵本体験にもぴったりです。
レビュー
この絵本を読んでいると、まるで自分も森のおふろに入っているような気持ちになります。動物たちが順番にやってきて背中を洗い合うシーンは、仲良し感があふれていて微笑ましいですし、「どぼーん!」と飛び込むところでは子どもが声を合わせて喜ぶ姿が目に浮かびます。西村敏雄さんのイラストは、ユーモラスで親しみやすく、動物たちの表情もとてもかわいらしいので、ページをめくるのが楽しくなります。読み終わったあとに「おふろって気持ちいいね」と自然に子どもと話せるのも魅力。毎日の生活の中で、おふろタイムをより楽しいものにしてくれる絵本だと思いました。


