わすれんぼうのサンタクロース/中川 ひろたか

『わすれんぼうのサンタクロース』(作:中川ひろたか/絵:中川貴雄、2016年 教育画劇)は、クリスマスの主役・サンタさんがとにかく忘れんぼう!服を着替え忘れたり、プレゼントを忘れたり、地図も忘れたり…もうどうするの!? そんなサンタさんを、相棒のトナカイ・ルドルフがため息まじりに見守るやりとりが、なんともユーモラスで微笑ましいんです。テンポの良い繰り返しに、子どもたちは大笑い。最後にはちょっぴりあったかい気持ちになれる、笑って楽しむクリスマス絵本です。

略歴

中川 ひろたか

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

中川 貴雄(絵)

中川貴雄(なかがわ たかお)さんは1979年和歌山県御坊市生まれ。大阪デザイナー専門学校でイラストを学んだ後、2005年以降フリーランスとして活動をスタートし、2009年からはクリエイティブユニット「なりゆきサーカス」に参加。絵本作家としては『わすれんぼうのサンタクロース』(中川ひろたか作)でデビューし、『なんにでもレナール!』など教育画劇から多数刊行。2020年刊行『くまのこ3きょうだい ふねのきょうそう』では絵を担当し、中川ひろたかさんとの双子ならぬ“同姓・共作”絵本のタッグとして注目を集めました。現在は絵本制作のほか、展覧会やワークショップを通じて幅広く活動されています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は3歳ごろから。繰り返しの展開や「なんてこったい!」の決まり文句が楽しく、小さな子どもも飽きずに楽しめます。サンタクロースやトナカイといったおなじみのキャラクターに親しみやすく、クリスマス前の読み聞かせにもぴったり。文字数も多すぎないので、はじめてのクリスマス絵本にも◎。

レビュー

うっかりミスばかりのサンタさんに、最初は「大丈夫!?」って思うけど、読み進めるうちにそのドジっぷりがクセになる!「なんてこったい」のリズムも楽しくて、声に出して読むのがほんとに気持ちいい。子どもはもちろん、大人も「うちのサンタもこうかも…」なんて笑っちゃうかも。絵もとてもユーモラスで、ルドルフのやれやれ顔がじわじわきます。完璧じゃないサンタさんだからこそ、なんだか親近感。肩の力を抜いて、笑ってほっこりできる一冊です。