よかったねネッドくん/レミー・シャーリップ

レミー・シャーリップ作・絵、やぎたよしこ訳『よかったねネッドくん』(1997年 偕成社)は、原題 “Fortunately” として1964年アメリカで初版発行されたユーモアたっぷりの絵本です。ニューヨークに住むネッドくんに届いたパーティーへの招待状から物語はスタート。「よかったね」と「たいへん!」が交互に繰り返されるリズム感ある展開で、ネッドくんが次々とピンチに見舞われつつも、そのたびに思わぬ展開で切り抜けていきます。シンプルな言葉と鮮やかなイラストで、ページをめくるたびに驚きと笑いが訪れる、読み聞かせにもぴったりの絵本です。

略歴

レミー・シャーリップ

レミー・シャーリップ(Remy Charlip, 1929–2012)は、アメリカ・ニューヨーク生まれの絵本作家・イラストレーターです。ユーモアと独創的な発想で知られ、代表作『Fortunately』(邦題『よかったねネッドくん』)は、幸運と不運が交互に繰り返されるスリリングでコミカルな展開が人気を集めました。また『Arm in Arm』や『Mother Mother I Feel Sick』など約40冊以上の絵本を手がけ、斬新な構成や大胆なレイアウトで子どもから大人まで楽しませました。彼の作品はニューヨーク・タイムズ「年間優秀絵本」に何度も選ばれ、アメリカ絵本界にユーモアと視覚的遊びを持ち込んだ作家として高く評価されています。

やぎた よしこ(訳)

やぎたよしこ(八木田佳子)さんは翻訳家として、英語圏の絵本や児童文学を日本の子どもたちに紹介し続けています。児童文学の名作から現代の絵本まで幅広く手がけ、分かりやすくリズム感のある日本語訳で定評があります。特にエリック・カール作品では『ごちゃまぜカメレオン』(偕成社、2022年刊)を翻訳し、独特のコラージュ絵の世界を生き生きと伝えました。原作の持つユーモアやメッセージ性を大切にしながら、日本語の子どもたちが声に出して楽しめるよう工夫されているのが特徴です。翻訳を通じて海外の名作絵本を身近にしてくれる重要な役割を担っている人物です。

おすすめ対象年齢

『よかったねネッドくん』は2歳ごろから楽しめる絵本です。繰り返しのリズムが心地よく、まだ文字が読めない子どもでも耳で楽しめます。また「よかった」「たいへん!」の対比がユーモラスに描かれているので、展開を予想するワクワク感も味わえます。読み聞かせはもちろん、小学生になってからは自分で読んでオチを楽しむのにもおすすめです。

レビュー

この絵本は「よかった」と思った瞬間に「たいへん!」がやってくる、そのテンポ感が最高に楽しいです。ページをめくるたびに「次はどうなるの?」とドキドキしながら、気づけば声を出して笑ってしまいます。子どもに読み聞かせると、一緒に「よかった!」「たいへん!」と掛け合いのように楽しめるのも魅力です。単純な繰り返しなのに、展開は予想外の連続で、大人も飽きません。ユーモアだけでなく、ハプニングがあっても工夫や偶然で切り抜けていく前向きさも感じられて、読後は元気が出る一冊でした。