中川ひろたかさん・作、ひろかわさえこさん・絵の『ともだちのやくそく』(2018年、アリス館)は、小学生になる子どもたちの“友情”と“約束”をテーマにした心あたたまる絵本です。うさぎのウーが好きな「ぼく」は、違う学校へ通うことになり、会いたいけれど電話は苦手。どうすれば会える?自分の気持ちを伝えることの難しさと、会いたい人に会うために自分から動く大切さが描かれています。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
ひろかわ さえこ(絵)
ひろかわさえこ(廣川沙映子)さんは、1953年に北海道小樽市で生まれ、武蔵野美術大学商業デザイン科(視覚伝達デザイン学科)を卒業後、文具デザイナーを経て絵本の世界へ進まれました。日本児童出版美術家連盟会員としても活動されています。主な作品には、「ぷくちゃんえほん」シリーズや『いちにのさんぽ』『あめぽったん』『ともだちのやくそく』(以上アリス館)、「やさいむらのなかまたち」シリーズや『ぞろりぞろりとやさいがね』(偕成社)、さらにあかね書房の「かばくん・くらしのえほん」シリーズなど多数あります。幼児の生活や感情に寄り添った温かな絵本づくりが特徴で、幅広い世代に支持されています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は4歳〜小学校低学年ごろがおすすめです。保育園・幼稚園の卒園や、小学校入学といった節目を迎える子どもたちが共感しやすい内容です。友だちと離れるさみしさや、自分の気持ちをうまく伝えるむずかしさを優しく描いており、読み聞かせにもぴったり。人とのつながりやコミュニケーションの大切さを自然に学べます。
レビュー
この絵本は、子どもの「友だちと会えない」もどかしさと向き合いながら、「気持ちを伝えるって大事だな」とあらためて感じさせてくれます。電話が苦手な「ぼく」の気持ち、すごくリアルでかわいい。会いたい気持ちって、素直に伝えるのが案外むずかしいけど、それでも一歩踏み出す勇気が大切なんだと気づかされます。絵もやわらかくて、読後感がとてもあたたかいです。新しい生活に一歩踏み出す子どもたちに、背中をそっと押してくれる1冊だと思います。