『ふたりはともだち』(原題:Frog and Toad Are Friends)は、アーノルド・ローベル作・絵。1970年にアメリカで初版が刊行され、温かな友情物語が詰まった短編集です。ローベル自身による簡潔で心に響くイラストと文章が特徴で、読者の共感を呼びます。日本語版は三木卓さん訳で、1972年に初版が刊行されました。全5話が収録され、がまくん(Toad)とかえるくん(Frog)の友情、季節ごとの小さな冒険やほっこりする日常の描写が、子どもから大人まで幅広く愛されています。
略歴
アーノルド・ローベル
アーノルド・スターク・ローベル(Arnold Lobel、1933年 – 1987年)は、ロサンゼルス生まれの画家兼作家。プラット美術学校卒業後、児童書を中心に執筆・イラストを手がけました。代表作は「がまくんとかえるくん」シリーズ(1970‑79年)、Caldecott Honor『ふたりはともだち』、Newbery Honor『ふたりはいつも』、Caldecott Medal『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』など、多くの賞を受賞。子どもの心に寄り添う優しいタッチとユーモアを織り交ぜた作風は、現代でも愛され続け、1970~80年代にかけ日本でも翻訳・出版が進みました
三木卓(訳)
三木 卓(みき たく、1935年 – 2023年)は、詩人・作家・翻訳家として活躍した知の巨人。早稲田大学第一文学部露文科卒業後、詩集『わがキディ・ランド』で高見順賞、芥川賞受賞作『鶸』、童話『ぽたぽた』で野間児童文芸賞など、多くの文学賞を受賞。児童文学分野でも優れた実績があり、特に『ふたりはともだち』などローベル作品の翻訳で知られ、三木さんによる自然で心温まる訳文が1960~70年代から子どもたちに親しまれています 。
おすすめ対象年齢
この絵本は3〜7歳くらいにぴったり。短くて優しい物語が5話収録されており、文字量も多すぎず初読みの子どもでも読みやすいです。また、友情や思いやりといったテーマは皆が共感しやすく、親子での読み聞かせにも、自分で読むにも◎です。
レビュー
『ふたりはともだち』は、「友情ってこういうもの」という心地よさに満ちた名作!がまくんとかえるくんの掛け合いが軽やかで、読んでいるだけでにこにこしてしまいます。季節ごとのエピソードは、春の新しい始まりや冬の静けさまで感じられ、情景が頭に浮かぶんです。三木さんの訳も柔らかくて、読むたび日本語でストンと心に落ちる安心感があります。そして、短編としてまとまっているので飽きずに楽しめるのが嬉しい。絵のタッチもシンプルで温かく、時々クスリと笑えるユーモアもあって、本当に何度でも読み返したくなります。今でも世界中で愛される理由がしっかり伝わる、ほっこり・じんわり系の絵本です。