『リサとガスパール にほんへいく』は、アン・グットマン作、ゲオルグ・ハレンスレーベン絵、石津ちひろ訳による絵本で、2007年に日本(ブロンズ新社)で発行されました。原作名は『Gaspard et Lisa au Japon』です。
この作品では、リサとガスパールが初めて日本を訪れ、言葉の壁や文化の違いに戸惑いながらも、トイレのハイテク機能や箸の使い方に驚き、お寺での出来事など、さまざまな体験を通じて日本の魅力を発見していきます。作者夫妻が実際に来日した際の経験が反映された、ユーモラスで温かみのある物語です。
略歴
アン・グットマン
アン・グットマン(Anne Gutman)は、1970年にフランス・パリで生まれた絵本作家です。小説家であった父親の影響を受け、幼少期から創作活動に興味を持ちました。デザイナーとして出版社で勤務していた際、画家のゲオルグ・ハレンスレーベンと出会い、結婚しました。夫の助言を受けて作家活動を本格化し、彼と共に絵本制作を開始しました。主に文章と装丁を担当し、1999年に「リサとガスパール」シリーズを発表しました。このシリーズは世界的なベストセラーとなり、続いてコアラの女の子を主人公とした「ペネロペ」シリーズも手がけました。「ペネロペ」シリーズは『うっかりペネロペ』としてアニメ化され、日本でも高い人気を博しています。アン・グットマンの独特の文体と感動的なストーリーテリングで、多くの読者に愛されています。彼女の作品は、世界中で翻訳され、多くの子どもたちに読み聞かせされています。
ゲオルク・ハレンスレーベン(絵)
ゲオルク・ハレンスレーベン(Georg Hallensleben)は、1958年にドイツのヴッパータルで生まれた絵本画家です。 幼少期から水彩画に親しみ、高校卒業後に絵本の挿絵の仕事を始めました。 その後、パリでデザイナーとして活動していたアン・グットマンと出会い、結婚。以降はアンと共に絵本制作を行い、主にイラストを担当しています。 代表作として、架空の動物を主人公にした「リサとガスパール」シリーズや、コアラの女の子が主人公の「ペネロペ」シリーズがあり、これらの作品は世界中で愛されています。
石津 ちひろ(訳)
石津ちひろ(いしづ ちひろ)は、1953年に愛媛県で生まれた詩人、絵本作家、翻訳家です。 早稲田大学文学部仏文科を卒業後、3年間フランスに滞在し、その後、絵本作家や翻訳家として活動を開始しました。 自身の作品としては、『なぞなぞのたび』(絵:荒井良二、フレーベル館)でボローニャ児童図書展絵本賞を受賞し、『あしたうちにねこがくるの』(絵:ささめやゆき、講談社)で日本絵本賞を受賞しています。 また、詩集『あしたのあたしはあたらしいあたし』(理論社)で三越左千夫少年詩賞を受賞するなど、多方面で活躍しています。 翻訳家としては、「リサとガスパール」シリーズ(ブロンズ新社)など、多くの作品を手がけています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、3歳から7歳の幼児を主な対象としています。シンプルで親しみやすいストーリーと、鮮やかなイラストが幼児の興味を引き、異文化への興味や理解を深めるきっかけとなります。また、ひらがな主体の文章で構成されているため、ひらがなを学び始めた子どもたちにも適しています。
レビュー
『リサとガスパール にほんへいく』は、外国人の視点から見た日本の文化や風習をユーモラスに描いており、読者に新鮮な気づきを与えてくれます。リサとガスパールが日本のトイレのハイテク機能に驚いたり、箸の使い方に苦戦したりする様子は、微笑ましくもあり、私たちが日常的に接している文化を再認識させられます。また、お寺でのエピソードでは、日本人の優しさが巧みに描かれており、子どもだけでなく大人も共感できる内容です。絵の美しさと細部へのこだわりも素晴らしく、日本の風景や風物が丁寧に表現されています。全体として、異文化理解の大切さや、未知の世界への好奇心を育む素晴らしい絵本だと感じました。