ロシア民話を原作とした『おおきなかぶ』は、いもとようこさんが絵と翻訳を担当した絵本です。原作名は「Репка(Repkа)」で、発行国はロシア、発行年は1940年代。物語は、一人では抜けない大きなかぶを家族や動物たちが協力して抜こうとする姿を描きます。いもとさんの温かみあるイラストは、親子で楽しむのにぴったりの内容です。日本語版は2007年に出版され、読者に「協力」の大切さを伝える名作です。
ロシア民話
ロシア民話は、古代から口承で語り継がれてきた物語の集まりで、日常生活や自然、魔法、英雄の冒険をテーマにしています。農耕文化が根付くロシアでは、家族や村人の共同作業や動植物との関わりが重要な要素となっています。特に『おおきなかぶ』のような民話は、家族や協力の価値観を反映し、子供たちへの教育的役割も果たしてきました。
略歴
いもとようこ
いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。
おすすめ対象年齢
『おおきなかぶ』は、簡単な言葉と繰り返しのリズムが特徴で、3歳から5歳ぐらいの幼児に最適です。読み聞かせでは、動作を交えて楽しめるため、親子でのコミュニケーションに役立ちます。小さい子供でも理解しやすいストーリーなので、初めての絵本としてもおすすめです。
レビュー
いもとようこさんの絵が『おおきなかぶ』の物語に命を吹き込んでおり、愛らしいキャラクターたちが共に力を合わせる様子は、読むたびに心を温かくします。特に、最後に小さな動物まで加わることで、どんな存在も重要であるというメッセージが伝わります。簡潔ながらも深い教訓があり、幼児だけでなく大人も楽しめる作品です。また、何度も繰り返されるフレーズが子供たちに安心感を与え、読み聞かせを通じて絆を深める機会を提供してくれると感じます。