シェル・シルヴァスタインの絵本『大きな木』の原作タイトルは The Giving Tree で、1964年にアメリカで発行されました。この絵本は、長い年月をかけて木と少年の関係を描き、無償の愛と献身、与えることの意味について深く考えさせられる内容となっています。シルヴァスタインのシンプルなモノクロのイラストと優しい言葉が、世代を超えて読者の心に響き、多くの人に愛され続けています。
略歴
シェル・シルヴァスタイン
シェル・シルヴァスタイン(Shel Silverstein)は1930年、アメリカ・シカゴ生まれの“なんでも屋”クリエイター。詩人であり絵本作家であり、さらにはソングライターや漫画家としても活躍していた超多才な人です。もともとは『プレイボーイ』誌で旅漫画を描いたり、軍の新聞に風刺イラストを寄稿していたりと大人向けの活動が中心。でも、1964年に絵本『おおきな木』を発表してからは、児童文学の世界でも大ヒット。ユーモアと哲学をミックスした独自の作風で『ぼくを探しに』『きみのいる場所』などが世界中で読み継がれています。ちなみに、ジョニー・キャッシュの名曲「A Boy Named Sue」の作詞も彼。1999年に亡くなったあとも、世界中の読者に笑いと気づきを届けてくれる存在です。
村上 春樹(訳)
村上春樹さんは1949年、京都に生まれ、兵庫県で育ちました。早稲田大学では演劇を学び、在学中から音楽好きで、後にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開きます。29歳のとき、ふと野球を観ながら小説を書いてみようと思い立ち、処女作『風の歌を聴け』でデビュー。それがいきなり芥川賞候補になり注目されました。その後も『ノルウェイの森』や『海辺のカフカ』『1Q84』など、多くのベストセラーを生み出し、日本だけでなく世界中で愛される作家に。独特の透明感ある文体と、音楽や夢、記憶などをテーマにした幻想的な世界観が特徴です。翻訳も多く手がけ、レイモンド・カーヴァーやフィッツジェラルドの作品紹介にも力を入れています。
おすすめ対象年齢
『おおきな木』は、文字は少なめだけど内容はちょっぴり深め。読み聞かせなら5歳くらいからOKで、小学生〜大人まで心に刺さる絵本です。「優しさって何?」を考えるきっかけになるので、親子で読むのもおすすめ。読むたびに感じ方が変わる、成長とともに味わえる一冊です。
レビュー
最初に読んだときは「木ってちょっとかわいそう…」って思ったけど、読み返すたびに見方が変わる不思議な絵本。木の“与える愛”が一方的すぎるようにも感じるし、でも見返りを求めない優しさってこういうことなのかも…と考えさせられます。シンプルな絵と短い文章なのに、心にズンとくる。子どもの頃は「やさしい木の話」、大人になると「愛と自分をどう守るか」の話に読める気がします。読む人の年齢や経験によって、感じ方が変わるところがこの本のすごさ。