『きんのたまごのほん』は、マーガレット・ワイズ・ブラウン作、レナード・ワイズガード絵、わたなべしげお訳の絵本です。原作名は『The Golden Egg Book』で、1947年にアメリカで出版されました。日本語版は、2004年に童話館出版から発行されました。物語は、ひとりぼっちのうさぎのぼうやがたまごを見つけ、その中に何が入っているのか興味を持ち、さまざまな方法でたまごにちょっかいを出します。待ちくたびれて眠ってしまったうさぎのぼうやが目を覚ますと、たまごからひよこが生まれ、二人は友だちになります。この絵本は、友情の始まりや好奇心、待つことの大切さを描いています。
略歴
マーガレット・ワイズ・ブラウン
マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。
レナード・ワイスガード(絵)
レナード・ワイスガード(Leonard Weisgard、1916年 – 2000年)は、アメリカの絵本作家・イラストレーターです。1947年に『The Little Island』でコールデコット賞を受賞し、その後も多くの作品で高い評価を得ました。彼のイラストは、独特の色彩感覚とデザイン性が特徴で、絵本の世界に新しい風を吹き込みました。マーガレット・ワイズ・ブラウンとのコンビで多くの作品を手がけ、その中でも『たいせつなこと』は代表作の一つとされています。
わたなべしげお(訳)
渡辺茂男(わたなべしげお,1928年 – 2006年)さんは、日本の児童文学者、翻訳家です。静岡県静岡市葵区生まれ。静岡県立静岡商業学校、久我山工業専門学校を経て、慶應義塾大学文学部図書館学科を卒業後、米国のウェスタン・リザーブ大学大学院を修了しました。ニューヨーク公共図書館児童部勤務を経て、1975年まで慶應義塾大学文学部図書館学科教授を務めました。石井桃子さんを中心とする「ISUMI会」に携わったことがきっかけで、児童文学に関わるようになりました。日本国際児童図書評議会(JBBY)創立に尽力し、『寺町三丁目十一番地』で1969年に厚生大臣賞、1970年にサンケイ児童出版文化賞を受賞しました。
おすすめ対象年齢
『きんのたまごのほん』の対象年齢は、およそ3歳からとされています。シンプルで温かみのあるストーリーとイラストが、小さな子どもたちの興味を引き、親しみやすい内容となっています。
レビュー
この絵本は、うさぎのぼうやとひよこの出会いを通じて、友情の芽生えや好奇心の大切さを描いています。マーガレット・ワイズ・ブラウンの温かい物語と、レナード・ワイズガードの柔らかなイラストが見事に融合し、読者に優しい印象を与えます。また、渡辺茂男の自然な日本語訳が、物語の魅力を一層引き立てています。親子で一緒に読むことで、子どもたちの想像力や感受性を育む一冊としておすすめです。