がんばれ! パトカー/竹下 文子

竹下文子さん作、鈴木まもるさん絵の『がんばれ! パトカー』(2007年 偕成社)は、平和な町をパトロールするパトカーの活躍を描いた絵本です。ある日、宝石強盗団が逃走し、迫力のカーチェイスが展開されます。スピード感あふれる展開に、思わずハラハラドキドキ。鈴木まもるさんの緻密で生き生きとした乗り物の描写が魅力で、車や働くのりものが好きな子どもにはたまらない一冊です。子どもと一緒に、乗り物の世界に入り込んで楽しめます。

略歴

竹下 文子

竹下文子(たけしたふみこ)さんは1957年福岡県生まれ、東京学芸大学卒業。大学在学中から童話の執筆を始め、1978年に「月売りの話」で日本童話会賞を受賞。以降、『星とトランペット』『黒ねこサンゴロウ』シリーズなどで路傍の石幼少年文学賞を受賞し、長年にわたって児童文学・絵本の世界で活躍されています。代表作には『せんろはつづく』『ひらけ!なんきんまめ』『なまえのないねこ』など、受賞歴も多数(絵本にっぽん賞、産経児童出版文化賞、講談社絵本賞など)。静岡県在住で、多くの子どもたちに親しまれている作家です。

鈴木 まもる(絵)

鈴木まもるさんは1952年東京生まれ。東京芸術大学工芸科を中退後、1980年に『ぼくの大きな木』で絵本作家としてデビュー。作品数は200冊以上にのぼります。1995年に「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さし絵賞を、2006年に『ぼくの鳥の巣絵日記』で講談社出版文化賞絵本賞、2015年には『ニワシドリのひみつ』で産経児童出版文化賞JR賞など数々の受賞歴あり。伊豆半島に在住し、画家・絵本作家として活動する傍ら、鳥の巣研究家として収集・展覧会・講演なども行っています。

おすすめ対象年齢

『がんばれ! パトカー』の対象年齢は、主に2歳頃からとされています。パトカーや消防車など、のりものに興味を持ち始める時期の子どもにぴったり。文章は短めでリズムよく読めるので読み聞かせにも最適ですし、迫力ある絵でストーリーを追えるので、一人読みを始めた子どもも夢中になれる絵本です。

レビュー

『がんばれ! パトカー』を読んで、まずワクワクするのは緻密に描かれたたくさんの乗り物です。パトカーをはじめ、町の中で働く車が細かく描かれていて、ページをめくるたびに新しい発見があります。ストーリーもシンプルながら緊張感があり、宝石強盗団を追う場面はまるで映画のよう。読み聞かせをすると子どもが一緒に「がんばれ!」と声をかけて盛り上がるのも楽しいです。車好きの子はもちろん、親子でハラハラドキドキを共有できるのが、この絵本の魅力だと思いました。