おばあちゃんすごい!/中川 ひろたか

『おばあちゃん すごい!』は、中川ひろたかさん作、村上康成さん絵、童心社から2002年6月に初版刊行された絵本です。ある日、保育園にやってきたおばあちゃん。子どもたちとお外で話しているうちに、けん玉にお手玉、あやとり、おりがみ、こま回し…なんでも始めて、しかもどれも上手! 子どもたちは「おばあちゃん、すごい!」と大感動。おばあちゃんは「ひろたかなり」くんを探しているという話もそっと入っていて、「おばあちゃん、誰なんだろう?」というミステリアスな余韻も残してくれます。

略歴

中川 ひろたか

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

村上 康成(絵)

村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。

おすすめ対象年齢

この絵本は、幼児〜低学年くらいを想定した作りになっています。短めのストーリー+なじみのある昔遊びがたくさん出てくるので、小さな子どもたちにも親しみやすく、大人も「昔のおばあちゃんの遊びってすごかったんだなあ」と思いながら一緒に楽しめる一冊です。

レビュー

この絵本、まずおばあちゃんの「何でもできる」ぶりがほんとに魅力的で、読み聞かせをしていても「すごーい!」という子どもの声が何度も出そうになる感じです。けん玉やお手玉、あやとり、おりがみ、こま回し…と、“昔ながらの遊び”を子どもと一緒にやるおばあちゃんの姿が、やさしくてたくましくて、何より「楽しい」。そして、「ひろたかなり」くんを探しているという設定が、ただのおばあちゃんの“あそび名人”話だけで終わらず、「おばあちゃんが持ってる“何か”を、子どもたちに伝えようとしているのかも?」という余韻を残してくれるのがいいなあと思いました。今どき、けん玉やお手玉をさらっと子どもと一緒に楽しめる“おばあちゃん”がどれだけいるだろう?そう思うと、この本は、“昔の遊び”“世代を超えた知恵や技”、“人と人をつなぐ時間”を、小さな子どもたちにも、そして大人にもやさしく伝えてくれる、あたたかくて元気が出る一冊だと思います。