
『ぐりとぐらとすみれちゃん』は、作:中川李枝子、絵:山脇百合子による絵本で、2003年に福音館書店から発行されました。物語は、野ねずみのぐりとぐらのもとに、すみれちゃんが大きなかぼちゃを持って訪れるところから始まります。そのかぼちゃは非常に固く、包丁やノコギリでも切れません。しかし、すみれちゃんの工夫と力強さで見事に割ることに成功し、3人はそのかぼちゃを使って美味しい料理を作ります。料理と食べることが大好きなぐりとぐらの世界に、新たな友達との交流が加わり、読者に温かい気持ちを届けてくれる作品です。
略歴
なかがわ りえこ
なかがわりえこ(中川 李枝子、1935年生まれ)は、日本を代表する児童文学作家であり、絵本作家としても広く知られています。北海道札幌市に生まれ、幼少期から自然に親しむ環境で育ちました。東京都立高等保母学院(現・都立高等保育学院)卒業し、保育士として働き始めました。この経験が、後の創作活動に大きな影響を与えています。
保育士時代に子どもたちへの読み聞かせや遊びの中で得た知識を活かし、1962年に『いやいやえん』で作家デビュー。1963年には、イラストを実妹の画家・山脇百合子(旧姓・大村)が担当した『ぐりとぐら』を発表し、広く支持を集めました。特に「ぐりとぐら」シリーズは、親しみやすい文章と温かみのある物語が特徴で、世代を超えて愛される作品となっています。
その後も数々の絵本や児童書を手がけ、子どもの目線に寄り添った物語を紡ぎ続けています。『そらいろのたね』『ももいろのきりん』など、多くの作品を発表しました。また、1988年公開のスタジオジブリの映画『となりのトトロ』では、オープニングテーマ「さんぽ」の作詞を手がけました。作品を通じて、自然や友情、日常の小さな喜びを大切にするメッセージを伝え、多くの人々に影響を与えてきました。
やまわき ゆりこ
やまわきゆりこ(旧姓:大村百合子)さんは、1941年、東京府(現・東京都)に生まれました。東京都立西高等学校を経て、上智大学外国語学部フランス語科を卒業。高校3年生のときに童話の挿絵を手掛けたことがきっかけで、絵本作家としての道を歩み始めました。姉である中川李枝子さんとの共作で「ぐりとぐら」シリーズや『そらいろのたね』など、多くの作品を世に送り出しました。1967年に『ぐりとぐらのおきゃくさま』で厚生大臣賞を受賞し、2013年には菊池寛賞を受賞しています。2022年、シェーグレン症候群による衰弱のため、80歳で逝去されました。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は3歳からとされています。シンプルでリズミカルな文章と、親しみやすいイラストが特徴で、小さなお子様でも楽しめる内容となっています。また、物語の展開やキャラクターのやり取りが理解しやすく、読み聞かせにも適しています。
レビュー
『ぐりとぐらとすみれちゃん』は、シリーズの中でも特に友情と協力の大切さを描いた作品だと感じました。すみれちゃんの登場により、ぐりとぐらの世界がさらに広がり、読者も新しい発見や喜びを共有できます。また、大きなかぼちゃをみんなで工夫して料理する過程は、子どもたちに創意工夫や協力の大切さを伝える良い機会となるでしょう。山脇百合子さんの温かみのあるイラストも、物語の魅力を一層引き立てています。親子で一緒に読んで、楽しさや感動を共有できる素晴らしい絵本だと思います。