ヘンゼルとグレーテル/グリム

グリム兄弟の名作『ヘンゼルとグレーテル』を、いもとようこさんが文と絵を手掛けた絵本です。貧しさのため森に捨てられた兄妹が、一度は家に戻るものの、再び森に捨てられ、お菓子の家を見つけます。しかし、それは人食い魔女の罠でした。この絵本は、2013年に金の星社から出版されています。

略歴

グリム兄弟

グリム兄弟[ヤーコプ・グリム (Jakob Grimm) とヴィルヘルム・グリム (Wilhelm Grimm)]は、19世紀ドイツを代表する言語学者であり民俗学者です。彼らは1785年(ヤーコプ)と1786年(ヴィルヘルム)にドイツのハーナウに生まれ、マールブルク大学で法学を学ぶ中で民族文化や言語への関心を深めました。特に民間伝承や童話に強い興味を抱き、各地の口承文学を収集し、それを基にした『グリム童話集』を1812年に初めて出版しました。この作品は、単なる子供向けの物語ではなく、当時の民衆文化や価値観を反映した重要な文化遺産として高く評価されています。兄ヤーコプは特にドイツ語の文法研究や辞書編纂にも尽力し、弟ヴィルヘルムは物語の文体や編集に秀でていました。彼らの活動は、ドイツの統一と民族意識の高揚にも寄与しました。
彼らの作品には、『赤ずきん』や『おおかみと七ひきのこやぎ』、『ブレーメンのおんがくたい』、『こびとのくつや』、『ヘンゼルとグレーテル』、『白雪姫』、『シンデレラ』など、今日でも世界中で愛されている物語があります。

いもとようこ

いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。

おすすめ対象年齢

対象年齢は幼児から一般まで幅広く、特に3歳から5歳の子どもたちに適しています。

レビュー

いもとようこさんの温かみのあるイラストと簡潔な文章が、物語の魅力を引き立てています。子どもたちにとっては、兄妹の冒険と勇気が描かれたストーリーが興味深く、大人にとっても再読の価値があります。また、「甘い話にはご用心」という教訓も込められており、親子で読みながら話し合うきっかけにもなるでしょう。