『クリスマスのおくりもの』は、ジョン・バーニンガム作・絵、長田弘さん訳による、心温まるクリスマス絵本。原作名は Harvey Slumfenburger’s Christmas Present。1993年にイギリスで刊行され、日本語版も同年にほるぷ出版から登場しました。プレゼントを1つ届け忘れたサンタが、遠く離れた山の家に住む少年のために、雪の中をがんばって届けに行くというお話。車に乗ったり、動物に乗ったり、あらゆる方法で目的地へ向かうサンタの姿がなんとも愛おしい!シンプルだけど、じんわり心にしみる名作です。
略歴
ジョン・バーニンガム
ジョン・バーニンガム(John Burningham,1936‑2019)はイギリス出身の絵本作家・イラストレーター。ケイト・グリーナウェイ賞を2度受賞するなど、その独特の線と繊細な色使いで世界中にファン多数。代表作には『Mr Gumpy’s Outing』や『Granpa』などがあり、日常の中にある小さなドラマやユーモアを捉える視点が魅力です。1993年刊の『クリスマスのおくりもの』もそんな作風が光る一冊。絵本界の巨匠として、半世紀以上にわたり子どもにも大人にも愛され続けています。
長田 弘(訳)
長田弘さん(1939‑2015)は福島市出身の詩人・児童文学作家・翻訳家。1965年に詩集『われら新鮮な旅人』でデビューし、その後『深呼吸の必要』『世界は一冊の本』など多くの著作を刊行。1971‑72年にはアイオワ大学で客員詩人も務めました。毎日出版文化賞や講談社出版文化賞、三好達治賞など数々の文学賞を受賞。翻訳家としても、多くの児童絵本を日本に紹介し、『クリスマスのおくりもの』の翻訳も手がけました。晩年まで精力的に執筆・翻訳活動を続け、2015年に惜しまれつつ永眠されました。
おすすめ対象年齢
この絵本は小さなお子さん、特に3〜6歳向けに最適です。乗り物や冒険が大好きな年齢にぴったりで、シンプルながら温かいメッセージを理解しやすい内容。また、サンタの決意や人の優しさが描かれているので、家族や思いやりについて自然に感じてもらえるはずです。
レビュー
バーニンガムのゆるやかで味のある絵と、サンタが全力で届けに行く姿のギャップがたまらなくキュート!“忘れちゃったけど、やっぱり届ける”っていうサンタのひたむきさがじんわり胸にしみます。旅先で出会う人たちの助け合いも心温まり、なんだか今年も誰かにちょっと優しくしたくなる気持ちに。子どもだけでなく、大人にとっても「小さなプレゼント」って、本当は“思いやり”なのかなって、改めて考えさせられます。クリスマスの夜に親子で読み合うのにぴったりの一冊。ほっこりして、気持ちまで温かくなる絵本です。