はつてんじん/川端 誠

『はつてんじん』は、川端誠さんが作・絵を手がけた落語絵本シリーズの第3巻で、1996年にクレヨンハウスから発行されました。古典落語「初天神」をもとに、いたずら好きな金坊とその父親が繰り広げる初詣でのやりとりをユーモラスに描いています。金坊の巧みな言い回しに振り回される父親の姿や、縁日のにぎやかな雰囲気が、温かみのあるイラストとともに楽しめます。親子の掛け合いを通じて、落語の面白さや日本の伝統行事に触れられる一冊です。

略歴

川端 誠

川端 誠(かわばた まこと)さんは、1952年に新潟県長岡市で生まれた絵本作家・イラストレーターです。多摩美術大学を卒業後、デザインやイラストレーションの仕事を経て、絵本制作の道に進みました。1980年代から絵本作家としての活動を本格化させ、特に古典落語や日本の伝統文化を題材にした作品で知られています。代表作には、落語絵本シリーズの『じゅげむ』『はつてんじん』『めぐろのさんま』などがあり、ユーモラスな語り口と温かみのあるイラストで、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれています。また、古典文学を題材にした『平家物語』や『源氏物語』の絵本化にも取り組み、日本の伝統文化をわかりやすく伝える作品を多数手がけています。その功績により、数々の児童文学賞を受賞し、日本の絵本界において重要な存在となっています。

おすすめ対象年齢

この絵本は、5歳以上の子どもに特におすすめです。金坊とお父さんのテンポのよいやりとりや、落語ならではのオチの面白さをしっかり理解できる年齢です。縁日や初詣の風景も描かれていて、日本の行事や文化を楽しく学べます。読み聞かせにもぴったりで、親子の会話が広がる一冊です。言葉のリズムやユーモアのセンスが育つ絵本として、落語の世界への入り口にぴったりです。

レビュー

『はつてんじん』は、金坊と父親のやりとりがとてもユーモラスで、読んでいて思わず笑ってしまいます。金坊の「いい子にしてるからご褒美ちょうだい」という巧みな言い回しに、父親が振り回される様子が微笑ましく描かれています。また、縁日のにぎやかな雰囲気や凧揚げのシーンなど、イラストからも楽しさが伝わってきます。落語のオチもしっかりと再現されており、子どもたちにとって落語の世界への入り口として最適な一冊だと感じました。