
『心をビンにとじこめて』は、オリヴァー・ジェファーズが作・絵を手掛け、三辺律子さんが翻訳した絵本です。原作の英題は『The Heart and the Bottle』で、2010年にイギリスで発行されました。日本語版は同年にあすなろ書房から出版されています。物語は、世界の不思議に心を躍らせていた少女が、大切なおじいちゃんの死を経験し、悲しみから心をビンに閉じ込めてしまうという内容です。しかし、心を閉ざすことで、彼女は喜びや感動も感じられなくなってしまいます。再び心を解放し、世界の美しさを取り戻すまでの過程が描かれています。
略歴
オリヴァー・ジェファーズ
オリヴァー・ジェファーズ (Oliver Jeffers) は、1977年オーストラリア生まれの北アイルランドの芸術家、イラストレーター、作家です。代表作『まいごのペンギン』は 2006 年のネスレ スマーティーズ ブック プライズゴールド メダルとブルー ピーター ブック アワードを受賞し、同年にはケイト グリーナウェイ メダルの最終候補にも選ばれました。ジェファーズの作品は、ユニークな視点とシンプルで味わい深いイラストが特徴で、子どもたちだけでなく大人にも広く支持されています。他の代表作には『The Incredible Book Eating Boy』、『The Fate of Fausto』などがありイラストを担当した『クレヨンからのおねがい!』(The Day the Crayons Quit)も有名です。ジェファーズは、彼の絵本作品が国際的に認められ、数々の賞を受賞しています。また、彼の作品は他の言語に翻訳され世界中の人たちに愛されています。
三辺 律子(訳)
三辺律子さんは、英米文学の翻訳家。東京都出身で、聖心女子大学英語英文科を卒業後、白百合女子大学大学院児童文化学科を修了されました。在学中に翻訳家の神宮輝夫氏の指導を受け、『こわいものなんて何もない』の翻訳でデビューされました。その後、『龍のすむ家』シリーズや『マザーランドの月』など、多くの児童書やファンタジー作品を手がけられています。また、海外文学ブックガイド「BOOKMARK」の編集人としても活動し、海外文学の魅力を広めることに尽力されています。翻訳を通じて、幅広い世代に物語の面白さを伝えている翻訳家です。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、小学校高学年から大人まで幅広く推奨されています。特に、感情の扱い方や心の在り方について深く考える内容であるため、思春期の子どもや大人にも共感を呼ぶ作品です。
レビュー
本作は、悲しみや喪失を経験した際の心の変化と、その回復を繊細に描いています。ジェファーズの独特なイラストと物語は、読者に感情の大切さや、心を閉ざすことの影響について深く考えさせられます。心の痛みを避けるために感情を閉じ込めることが、逆に人生の喜びや驚きを失わせることを教えてくれる、深いメッセージ性を持った作品です。