いちにちじごく/ふくべ あきひろ

「悪いことをしたら、どんな地獄が待っている?」──『いちにちじごく』(PHP研究所・2017年)は、主人公の男の子が地獄の鬼として一日を過ごす、ちょっぴりこわくて、でも笑えるユニークな絵本です。嘘をつくと舌を抜かれ、盗みを働けば綱渡り地獄…でも、全ての描写がコミカルでテンポよく進み、子どもたちにも親しみやすいのが魅力。しつけや善悪の感覚を伝えたいときにも役立つ内容です。かわしまななえさんのイラストが、「怖い」と「面白い」のバランスを巧みに表現し、読後には笑顔も会話も広がる一冊です。

略歴

ふくべ あきひろ

ふくべ あきひろ(福部 明浩)さんは、1976年兵庫県生まれのコピーライター・絵本作家です。​京都大学工学部を卒業後、1998年に博報堂に入社し、コピーライターとして数々の広告賞を受賞しました。​2013年に独立し、クリエイティブオフィス「catch」を設立。​2009年に絵本『いちにちおもちゃ』で作家デビューし、以降「いちにち」シリーズを中心に、子どもたちの想像力を刺激するユーモアあふれる作品を多数手がけています。​彼の作品は、日常の中にあるユニークな視点や発想を通じて、読者に新たな気づきや楽しさを提供しています。

かわしま ななえ(絵)

かわしまななえ(川嶋ななえ)さんは、1983年東京都生まれの絵本作家・アートディレクターです。​東京造形大学を卒業後、多摩美術大学大学院を修了し、2008年に広告会社・博報堂に入社。​アートディレクターとして活動する傍ら、2009年にふくべあきひろさんとの共作『いちにちおもちゃ』で絵本作家としてデビューしました。​以降、「いちにち」シリーズ全作品のイラストを担当し、独特のユーモアと温かみのある作風で多くの読者を魅了しています。​歌舞伎をこよなく愛し、キジトラ猫の松と梅を飼うなど、日常の中の豊かな感性が作品に反映されています。

おすすめ対象年齢

『いちにちじごく』は、保育園・幼稚園の未就学児から小学校低学年の子どもたちを対象としています。​悪いことをするとどうなるかをユーモラスに描いており、道徳教育にも適しています。

レビュー

地獄というテーマなのに、思わず笑ってしまうほどユーモラスで親しみやすい!『いちにちじごく』は、「悪いことをするとこうなるよ」というメッセージを、怖がらせずに伝えてくれるバランスのよい絵本です。独特のセリフ回しやコミカルな表情の鬼たちが、道徳を押しつけがましくなく届けてくれます。怖さのなかに笑いがあるからこそ、印象にも残りやすい。「どうしていけないの?」の答えを、楽しく一緒に考えられる一冊です。