ねえだっこして/竹下 文子

『ねえ だっこして』は、文:竹下文子さん、絵:田中清代さんによる心にしみる絵本で、金の星社から2004年に刊行されました。お母さんのひざが世界で一番大好きなネコ。でも赤ちゃんが生まれてから、その特別席は赤ちゃんのものに…。そんなネコが「もう大きいから平気だもん」と強がるけれど、本当はだっこしてほしくてしょうがない気持ちに揺れ動きます。最後には、そっと甘えるその姿が胸にささる一冊です。詩のようにやさしい言葉と温かみのある絵が、読むたびにうるっとくる、特別な「甘酸っぱい」絵本です

略歴

竹下 文子

竹下文子(たけしたふみこ)さんは1957年福岡県生まれ、東京学芸大学卒業。大学在学中から童話の執筆を始め、1978年に『月売りの話』で日本童話会賞を受賞。以降、『星とトランペット』『黒ねこサンゴロウ』シリーズなどで路傍の石幼少年文学賞を受賞し、長年にわたって児童文学・絵本の世界で活躍されています。代表作には『せんろはつづく』『ひらけ!なんきんまめ』『なまえのないねこ』など、受賞歴も多数(絵本にっぽん賞、産経児童出版文化賞、講談社絵本賞など)。静岡県在住で、多くの子どもたちに親しまれている作家です。

田中 清代(絵)

田中清代(たなか きよ)さんは1972年神奈川県生まれ、多摩美術大学で油彩と版画を学びました。在学中から絵本制作をスタートし、1995年にボローニャ国際絵本原画展でユニセフ賞、翌年には入選するなど国際的にも注目。デビュー作は1997年の『みずたまのチワワ』(文:井上荒野/福音館書店)。その後も銅版画の温かいタッチを活かした、『おきにいり』、『おばけがこわいことこちゃん』、『トマトさん』など多彩な作品を発表。また、自作で描いた『ひみつのカレーライス』や、再話を担当した『小さいイーダちゃんの花』なども人気です。2018年出版の『くろいの』では、日本絵本賞大賞や小学館児童出版文化賞など数々の賞を受賞し、今なお評価され続ける絵本作家です。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、主に おおよそ2歳〜小学校低学年が目安です。ただし、子育て経験のある大人にもグッとくる内容で、特に第2子を迎える家庭では共感度MAX。「私はもう大きいから」と強がる子どもと、それでも甘えたい気持ちのギャップに、親も思わず涙する名作です。

レビュー

この絵本、猫視点だからこそ“あのもどかしさ”がたまらなくリアルです。赤ちゃんが来て、お母さんに甘えられなくなった切なさと、でも「大きいから平気」って強がる気持ち…上の子の心の中に重なります。田中さんの絵は、猫の曇った瞳や赤ちゃんのふわふわ感をそっと捉えていて、ページをめくるたび胸がぎゅっとなるんです。最後に「あとででいいから…ときどきだっこして」の言葉に、思わず涙腺が…!大人の目線でもグッとくる、甘えたくなる名作です。