
『うさぎのおうち』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが文を、ガース・ウィリアムズが絵を手がけ、松井るり子が翻訳した絵本です。原作のタイトルは『Home for a Bunny』で、1956年にアメリカで出版されました。日本語版は、2004年にほるぷ出版から出版されました。物語は、春の明るい日差しの中、こうさぎが自分の家を探しに出かけるところから始まります。さまざまな動物たちに出会いながら、こうさぎは自分にぴったりの家を見つけようとしますが、なかなか見つかりません。この絵本は、春の喜びや新たな始まりを感じさせる作品として、多くの読者に愛されています。
略歴
マーガレット・ワイズ・ブラウン
マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。
ガース・ウィリアムズ(絵)
ガース・モンゴメリー・ウィリアムズ(Garth Montgomery Williams、1912年生まれ)は、アメリカ合衆国の著名なイラストレーターで、児童書や絵本の挿絵で広く知られています。彼はニュージャージー州とカナダの農場で幼少期を過ごし、10歳のときに家族とともにイギリスへ移住しました。ロンドンのウェストミンスター美術学校で建築を学んだ後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで奨学金を得て美術を専攻しました。第二次世界大戦中は英国赤十字社で活動し、戦後はアメリカに戻り、『ザ・ニューヨーカー』誌でイラストレーターとして活躍しました。E・B・ホワイトの『スチュアートの大ぼうけん』(1945年)や『シャーロットのおくりもの』(1952年)の挿絵を手がけたことで一躍有名になり、ローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』シリーズの新版(1953年)でも挿絵を担当しました。晩年はメキシコのグアナフアト州で過ごし、1996年に84歳で逝去しました。
松井 るり子(訳)
松井るり子さんは、1957年に岐阜市で生まれました。お茶の水女子大学家政学部児童学科で本田和子教授のもと、児童文化を学びました。1991年秋から1年間、アメリカに滞在し、シュタイナー幼稚園で保育に参加しました。帰国後は、新聞や雑誌への寄稿、講演活動などを通じて、子育てや子どもの本に関する情報を発信しています。著書には『ごたごた絵本箱』『絵本いろいろお話いろいろ』『わたしのまわりは美しい』などがあり、翻訳作品としては『うさぎのおうち』『毛皮ひめ』『スヴェンさんの橋』『あらしのひ』など、多くの絵本を手がけています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、2歳から4歳程度とされています。シンプルでリズミカルな文章と、温かみのあるイラストが、小さなお子さんにも親しみやすく、読み聞かせにも最適です。
レビュー
『うさぎのおうち』は、春の訪れとともに始まるこうさぎの冒険を描いた心温まる物語です。ガース・ウィリアムズの繊細で美しいイラストレーションは、春の自然の息吹を見事に捉えており、ページをめくるたびに新たな発見があります。マーガレット・ワイズ・ブラウンのリズミカルで優しい文章は、子どもたちの心に響き、読み聞かせにも最適です。松井るり子さんの丁寧な翻訳により、日本の読者も原作の魅力を存分に味わうことができます。この絵本は、親子で一緒に楽しみながら、春の喜びや新たな始まりの大切さを感じることができる一冊です。