
『ちいさなヒッポ』は、アメリカの絵本作家マーシャ・ブラウンによる作品で、原題は『How, Hippo!』です。本作は1984年に日本で発行されました。 物語は、カバの子ヒッポが母親から厳しい言葉の特訓を受ける姿を描き、母と子の愛情を力強い木版画で表現しています。
略歴
マーシャ・ブラウン
マーシャ・ブラウン(Marcia Brown、1918年 – 2015年)は、アメリカ、ニューヨーク州ロチェスター生まれの著名な絵本作家であり、イラストレーターです。彼女は豊かな感性と独特の絵画スタイルで知られ、『三びきのやぎのがらがらどん』や『影ぼっこ』や『せかいいちおいしいスープ』など、多くの名作を生み出しました。マーシャ・ブラウンの作品は、文学性と芸術性の高さで評価され、カーネギーメダルや3度のコールデコット賞を受賞しています。特に、異なる文化や民話を題材にした作品が多く、読者に異文化理解を促しました。また、教育者としても活躍し、子どもたちへの読み聞かせを通じて、絵本の魅力を広めました。その生涯を通じて、彼女は絵本を通じて子どもたちの想像力を育むことに情熱を注ぎ、児童文学に多大な貢献をした作家であり、今もなお多くの人々に愛されています。
うちだりさこ(訳)
内田莉莎子(1928年6月24日 – 1997年3月22日)は、東京生まれの翻訳家、児童文学者、ロシア文学者です。祖父である内田魯庵が、モナリザにちなんで「莉莎子」と命名しました。早稲田大学第一文学部露文科を卒業後、1964年にポーランドへ留学し、以降、ロシアや東欧の児童文学や昔話の翻訳紹介を行いました。代表的な訳書に『てぶくろ』や『おおきなかぶ』などがあります。 また、マーガレット・ワイズ・ブラウンの『どこへいってた?』の翻訳も手掛けています。彼女は多くの海外絵本を日本語に翻訳し、児童文学の分野で高く評価されています。
おすすめ対象年齢
『ちいさなヒッポ』の対象年齢は、5歳から6歳以上とされています。 ただし、物語の内容や絵の表現は幅広い年齢層(幼児から小学生)まで楽しめる作品です。
レビュー
『ちいさなヒッポ』は、親子の愛情と成長を描いた感動的な絵本です。母カバが子どもに厳しく接しながらも、最終的に深い愛情を示す場面が印象的で、親の強さと優しさを感じさせます。マーシャ・ブラウンの木版画の力強いタッチが、物語の緊張感や水辺の生き生きとした雰囲気を見事に表現しており、特に水の流れや動物たちのダイナミックな描写が素晴らしいです。親子で読むことで、互いの気持ちを改めて考えるきっかけになるでしょう。