
ドクター・スース作、いつじあけみ訳の絵本『グリンチ』は2000年にアーティストハウスから再出版されています。原作は『How the Grinch Stole Christmas!』といい、1957年にアメリカで発行されました。物語は、クリスマスが大嫌いないじわるなグリンチが、村からクリスマスのすべてを盗もうと企てるものです。しかし、村人たちの喜びは物質的なものに依存しないことに気づき、グリンチの心にも変化が訪れます。この作品は、子供と大人の「こころ」をほんのりと温めてくれる世界的名作として知られています。
略歴
ドクター・スース
Dr. Seuss(本名:セオドア・スース・ガイゼル、1904年 – 1991年)は、アメリカ出身の絵本作家、イラストレーター、詩人、児童文学作家、漫画家で、多くのリズム感あふれる作品を残しました。マサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。ダートマス大学卒業後、オックスフォード大学に留学。彼は子どものリーディングを支援する絵本作家として活動し、韻を踏んだシンプルな言葉を使って、子どもたちに楽しく読書の世界を紹介しました。特に『キャット・イン・ザ・ハット』は、当時の退屈なリーディング教材に挑戦する作品として大成功を収め、以後、彼のユーモアと独創的なキャラクターが児童文学に新たな風を吹き込みました。彼の作品は教育的でありながら、楽しく奇想天外な内容が特徴です。
いつじあけみ
井辻朱美(いつじ あけみ,1955年生まれ)は東京都新宿区生まれの翻訳家、ファンタジー小説家、歌人です。東京大学理学部生物学科人類学専攻を卒業後、同大学院人文系研究科比較文学比較文化専攻を修了しました。J・R・R・トールキンなどのファンタジー作品の愛好家として、英米のファンタジー小説を多く翻訳し、自身もファンタジー小説や評論を執筆しています。また、短歌結社「詩歌」や歌人集団「かばん」の創設に関わり、独特の世界観を持つ短歌を詠む歌人としても知られています。
おすすめ対象年齢
『グリンチ』の対象年齢は、物語のテーマや表現から、小学校低学年程度のお子様に適していると考えられます。ただし、大人も楽しめる深い内容を持っており、親子で一緒に読むことで、より深い理解と共感を得られるでしょう。
レビュー
本作は、クリスマスの本当の意味や、物質的なものに頼らない喜びの大切さを教えてくれます。グリンチの心の変化を通じて、読者もまた、人間の温かさや思いやりの重要性を感じ取ることができます。ドクター・スースのユーモラスな文体と独特のイラストが相まって、読後には心温まる感動が広がります。